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2017 年度 実施状況報告書

転写因子Tfcp2l1を介した129系統マウスES細胞の安定な自己複製機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K07104
研究機関金沢医科大学

研究代表者

大塚 哲  金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (40360515)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードES細胞 / LIFシグナル / 多能性
研究実績の概要

本研究は、マウス ES細胞のナイーブ型多能性幹細胞に特異的に発現している転写因子Tfcp2l1による多能性維持における役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、Tfcp2l1の人為的null細胞の樹立と外来性Tfcp2l1-不安定化ドメインとの融合タンパクによるレスキュー実験系を確立した。これらの実験系を用いて、転写因子Tfcp2l1はマウス ES細胞の多能性維持に必須であることが判明した。
1)Tfcp2l1fko1(exon2)-ESCの樹立:Exon2の両アレルをloxPで挟み、この細胞を用いてMerCreMerの安定発現株を作製し、タモキシフェン(Tx)添加によりTfcp2l1(exon2)の領域を人為的に除去できるTfcp2l1fko1(floxEx2)-ESCを樹立した。この細胞株において、Tx添加するとほとんどの細胞が死滅したが一部の細胞が生残し、これらの細胞は継代できた。加えて生残細胞を免疫染色すると野生型ES細胞と同等に染色されることから、exon2だけを除去しても多能性を維持することができると考えられる。Tfcp2l1KO1(floxEx2)-ESCを用いて、Tfcp2l1遺伝子の3`UTR内にloxPを導入したES細胞(Tfcp2l1KO2)を樹立した。Tx添加により全てのエクソンを除去すると全ての細胞が死滅したことから、Tfcp2l1遺伝子はES細胞の自己複製に必須であることがわかった。
2)Tfcp2l1KO2のレスキュー実験系によるTfcp2l1の多能性維持機構の解析:
Tfcp2l1に人為的安定化ドメイン(DD)を融合した発現系を確立した。この融合タンパクは、安定化剤添加により安定化する。この系をTfcp2l1KO2-ESCへ導入し、Txと安定化剤を同時に添加することで、Tfcp2l1KO2-ESCは多能性を維持できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、これまでに樹立できていなかったTfcp2l1遺伝子の全ての遺伝子領域が、人為的に除去可能なES細胞株の樹立に成功した。これにより、これまで不可能であったTfcp2l1のナイーブ型多能性幹細胞における多能性維持について詳細な機能解析が可能となっている。このことから順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

上記のように本研究の解析の中心となるTfcp2l1のES細胞における詳細な機能解析を行うための実験が確立できた。またノックアウトES細胞において外来性のTfcp2l1発現誘導系も確立できている。今後は、上記の実験系を用いて下流の標的遺伝子の同定を進め、Tfcp2l1の多能性維持の詳細な機能解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Overlapping function of klf family targets multiple transcription factors to maintain naive pluripotency of ES cells2018

    • 著者名/発表者名
      Yamane Mariko、Ohtsuka Satoshi、Matsuura Kumi、Nakamura Akira、Niwa Hitoshi
    • 雑誌名

      Development

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1242/dev.162404

    • 査読あり
  • [学会発表] マウス ES細胞における自己複製の安定性とSocs3発現量の相関2018

    • 著者名/発表者名
      大塚哲、石垣靖人
    • 学会等名
      第65回日本実験動物学会総会

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公開日: 2018-12-17  

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