研究課題
昨年度の解析にて、脱ユビキチン化酵素阻害剤WP1130が、プロテアソーム非依存的なHIF-1α分解を誘導することに加えて、bHLH型転写因子ATF-2のリン酸化およびストレス応答性MAPキナーゼであるp38MAPキナーゼの活性化を引き起こすことを見出した。そこで本年度は、WP1130によるプロテアソーム非依存的HIF-1α分解とp38MAPキナーゼ活性化の関係を解析した。p38MAPキナーゼを活性化することが広く知られている化合物anisomycinのプロテアソーム非依存的HIF-1α分解能を解析した結果、anisomycinはWP1130と同様にプロテアソーム非依存的なHIF-1αの分解を誘導した。また、濃度依存性の検討の結果、WP1130およびanisomycinのプロテアソーム非依存的HIF-1α分解誘導活性はp38 MAPキナーゼ活性と同程度の濃度にて引き起こされることが明らかとなった。次に、anisomycin刺激時にHIF-1α分解を担うプロテアーゼの同定を目指し、各種プロテアーゼ阻害剤を用いた解析を行ったところ、anisomycin刺激によるHIF-1α分解もWP1130の場合と同様にcalpain阻害剤ALLNによって有意に抑制されたことから、calpainファミリーの関与が示唆された。一方、p38 MAPキナーゼ阻害剤処理した細胞での、WP1130およびanisomycin によるプロテアソーム非依存的HIF-1α分解を検討したところ、HIF-1α分解への影響は認められなかった。anisomycinによるプロテアソーム非依存的HIF-1α分解の発現に必須なHIF-1αの分子内領域の同定を試みた。その結果、HIF-1αのCys-601以降のC末端側領域がanisomycinによるHIF-1α分解誘導に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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