研究課題
RRM1の遺伝子増幅のある細胞株にテトラサイクリン誘導性のBHLHE41発現細胞を樹立した。ドキシサイクリン処理後に経時的にゲノムのコピー数変化を観察して、2週間程度で再現よくコピー数の減少を認めることを確認できた。この細胞株を用いてSNPアレイでドキシサイクリンのない状態では11番染色体上のRRM1のコード領域の2.5megabaseにわたる部分のプローブについてコピー数が5倍増加していることを確認した。同領域に注目してさらに詳細な解析を行う。また現在、 MDR1の遺伝子増幅のある細胞株KB-C2細胞でもテトラサイクリン誘導性のBHLHE41発現細胞を樹立して遺伝子コピー数の解析を継続中である。ストレプトタグ付加したBHLHE41発現ベクターを作成した。この分子を動物細胞に発現させて、結合タンパク質の同定を行っているが候補分子の絞り込みに時間を要している。免疫沈降を用いてBHLHE41がユビキチン化を受けること、通常の状態で2量体を形成していることを確認した。但しマウスで報告されているBHLHE40とのヘテロ二量体の形成は確認できていない。BHLHE41のユビキチン化に関わるE3ライゲースの候補についてBHLHE41タンパク質発現の高いU251細胞と低いA549細胞のmRNAの発現の違いをデータベースで調べて、複数のE3ライゲース候補分子を同定している。今後はこれらの分子が実際にBHLHE41タンパク質のユビキチン化に関わっているか確認する。A549細胞ではメチル化によってBHLHE41の発現が抑制されていることは確認できたが、5’UTRにメチル化領域を確認できていない。発現に関わる転写因子がメチル化制御を受けていると考えられ転写制御タンパク質の同定を行っている。
2: おおむね順調に進展している
当初の細胞の条件検討に解析の時間を要したが、その後はSNPアレイの結果を得てゲノム構造の解析の準備が進行している。結合タンパク質のプロテオミクス解析はやや遅れているが、肺癌細胞A549にテトラサイクリン誘導性のBHLHE41を発現した細胞を用いた解析でBHLHE41による再現のよい細胞数の減少が観察できたことから。これらの解析から細胞生存に関わる分子の同定できる可能性がひろがり、全体としてはほぼ順調な進行と判断している。
以下の4点を推進する。1.増幅ゲノム領域の概要が判明したので、特にこの領域に注目してBHLHE41遺伝子の発現誘導によるコピー数の減少を確認し、解析部分を決定してハイブリッドキャプチャーを行うプローブの情報を得る。ハイブリッドキャプチャーしたゲノムDNAをHi-Cを用い他立体構造の変化を調べる。2.BHLHE41発現によるA549細胞を細胞死の機構を明らかにし、関わる分子群を同定する。3.BHLHE41と結合タンパク質の同定を行い、生化学的手法で確認した上でsiRNAやoverexpressionを行って、作用する分子の経路を確定する。4.BHLHE41の免疫沈降を用いた結合タンパク質の同定。BHLHE41のユビキチン化に関連するE3ライゲースの同定と多量体の形成についての解析する。
29年度の計画で得支給額をほぼ使用したが、わずかに残金が残ったので30年度使用とした。残金は3000円程度と少額で十分使用可能である。年度の予算もHi-Cの経費の一部負担と発現解析、SNPアレイなど経費を要する解析を予定しており、計画的に使用する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Pharmacological Research
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