研究課題/領域番号 |
16K07121
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
古川 龍彦 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40219100)
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研究分担者 |
井ノ上 逸朗 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (00192500)
河原 康一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00400482)
南 謙太朗 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任研究員 (20735956)
山本 雅達 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (40404537)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 遺伝子増幅 / コピー数 / ゲノムj / 薬剤耐性 / がん抑制遺伝子 / オートファジー |
研究実績の概要 |
RRM1遺伝子の増幅が観察されるMGEM6細胞からテトラサイクリン誘導性にBHLHE41を発現するの細胞株を複数単離した。ドキシサイクリン存在下にゲノムDNAのPCRでほぼ4週以上の発現でRRM1の遺伝子増幅のコピー数が再現よく減少することを確認できた。さらにSNPアレイを行い、ほぼRRM1の遺伝子領域周辺に限ってゲノム変化が起きていることを観察した。 myc遺伝子の増幅のある複数の細胞株についてBHLHE41の導入細胞を作成したが、mycの遺伝子コピーを減少させるには至らなかった。 TCGAのデータベースを用いたin silicoの解析から肺腺癌ではBHLHE41が予後良好なマーカーであることが分かった。そこで、テトラサイクリン誘導性にBHLHE41を発現する肺がん細胞株を作成した。ドキシサイクリン存在下ではがん細胞の増殖抑制が観察された、このとき切断されたカスパーゼ3は観察されず。LC-3IIの増加が観察され増殖抑制はクロロキンで阻害されたので、オートファジーによる細胞死が誘導されていると考えられる。呼吸器外科と共同研究により、実際の手術症例での肺がん組織の免疫染色の解析結果からBHLHE41の発現はほぼ早期がんに限られ、予後良好のマーカーである結果を得ており、がん抑制遺伝子としての機能についても解析を進めている。 肺がんでの発現低下にはmRNAの発現低下だけでなく、翻訳後修飾も関係してることを見出した。プロテアゾーム阻害剤やラベルユビキチンを用いて、BHLHE41がユビキチンプロテアゾーム系で分解されている証拠を得ることができた。BHLHE41の発現が早期あるいは非浸潤性腫瘍部位に見られていることから、この遺伝子はがん発生後早期の特定のステップで不活性化されるものであると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドキシサイクリンによるゲノム遺伝子変化の誘導にほぼ一か月を要することから、実験条件の検討や細胞の選別やサンプルの調整などの各ステップで時間がかかった。現在、ドキシサイクリンで一定期間培養したのちに細胞を保存して、作業効率を上げる工夫を行っている。また、実験条件はほぼ確定したので今後は計画的に実験を進行できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
誘導性の細胞株が複数単離できたので全ゲノムのシークエンス、CHIP-Seq、発現解析などを進めていく。全ゲノムシークエンスで増幅遺伝子の境界を知ることで今後変化の起こっている部分の検出を容易にできることが期待できる。ABCB1増幅遺伝子を持つKB-C2細胞についても同様な解析を進める。このことでBHLHE41が間接あるいは直接に作用する特定の配列などゲノム変化の起こる共通因子などを見つけることが容易になる。 一方、肺がん細胞株の解析から見出したオートファジーが誘導やユビキチン修飾についてはその機構についても解析を進める。RNA-Seqあるいはアレイ解析によってオートファジー誘導に作用する分子の活性化や転写の変化する。また、共沈実験を行って直接にユビキチン化働く分子を同定し、これらを阻害したときに抗腫瘍効果が見出されるかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
誘導細胞株を用いてゲノムの変化がおこるまでにおおよそ1か月がかかったことは想定外であった。細胞の評価やサンプル調整などのために要する時間が予想以上にかかっているため、計画の実施が遅れた。細胞調整のために条件がほぼ確定したので、今年度中に計画を実施可能で、計画的に実行していく。 次年度の繰り越し予算について、上記の今後の計画のうち発現解析とそのための細胞資料の作製や組み換え部分のゲノムのコピー数の変化を調べるためのPCRに用いる。また、肺がんでの解析データについて、論文化を進めるためにも用いる。
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