研究課題/領域番号 |
16K07133
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
毎田 佳子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (20397219)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | TERT / RNA |
研究実績の概要 |
トランスクリプトーム解析が進むにつれ、細胞に発現するRNAの構造的・機能的多様性が明らかとなってきた。RNAを多様化させる機構にRNAの転写後修飾があるが、近年その生物学的・病理学的意義が盛んに研究されている。例として、がんではRNA転写後修飾の一種であるRNA編集を受けたRNAの発現亢進が報告されており、RNA編集とがんとの関連が注目されている。我々は以前、がんで特異的に発現しテロメア伸長酵素であるテロメレースの触媒サブユニットとして知られるTERT(telomerase reverse transcriptase)にRNAを合成するRNA依存性RNAポリメレース(RdRP)活性が有ることを報告した。本研究課題では「TERTのRdRP活性によるRNA合成」と「RNA編集」との機能的連携を証明し、がん細胞におけるRNA多様化機構の解明を目指す。 我々のこれまでの検討により、TERTは細胞周期のM期特異的に複合体を形成しRdRP活性を示すことが分かっている。そこで、RNA編集の関連分子とTERTとの物理的相互作用について検討したところ、当該関連分子がM期特異的にTERTと結合することが分かった。この結合はRNA切断酵素に感受性を示したことから、当該関連分子とTERTとはRNAを介して結合していることが示唆された。In vitroの検討では、TERTがRdRP活性により合成するRNAに対して当該関連分子が質的・量的な変化をもたらすことが観察されており、TERTがRNA合成を介して担う機能を当該関連分子が修飾している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TERTとRNA編集関連分子との物理的・機能的相互作用を確認できており、ほぼ順調に計画が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
TERTのRdRP活性とRNA編集関連分子との連携により多様性がもたらされるRNAを同定し、RNA多様化の機能的意義の解明を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に予定した実験が一部平成29年度に持ち越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に予定していた実験を平成29年度に実施し、完了するために使用する。
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