研究課題/領域番号 |
16K07135
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
石川 哲也 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (90398743)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | がん組織由来 / iPS細胞 / 網羅的遺伝子発現 / 次世代シークエンス |
研究実績の概要 |
胆管上皮細胞や肝細胞に分化させるiPS細胞をがん組織由来の初代培養細胞から作製した。作製したiPS細胞のマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析と次世代シークエンスとバイオインフォマティクス解析によるキノーム遺伝子及びがん関連遺伝子の変異を調べた。その結果、結腸がん組織または胃がん組織由来のiPS細胞は、線維芽細胞由来の標準的iPS細胞と比べ、各々特徴的な遺伝子発現プロファイルを示し、がん関連遺伝子の発現も上昇していた(Cancer Informatics, 15: 163-178, 2016)。一部の複数株は肝分化指向性のiPS細胞に特徴的な肝細胞遺伝子の発現上昇も同時に観察された。一方、結腸がん組織由来の初代培養細胞から作製したiPS細胞は、非がん組織には存在しないsingle nucleotide variants (SNVs)が検出された(World Journal of Stem Cells, in press)。胃がん組織由来の初代培養細胞から作製したiPS細胞にも、非がん組織には存在しないSNVsが検出された。これらの遺伝子変異の発がんやがん進展への関連性についてはまだ明らかではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験動物への細胞移植実験は、研究所移転等の理由により、動物飼育施設内で安定的に超免疫不全マウスを飼育することに懸念があったため、次年度に開始すべく延期した。
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今後の研究の推進方策 |
がん組織由来の初代培養細胞から作製したiPS細胞の肝細胞分化及び胆管上皮細胞分化を実施する。また、超免疫不全肝傷害モデルマウスへ細胞を移植し、ヒト肝細胞や胆管上皮細胞がマウス肝臓内に生着するかを検討する。さらに、マウス肝臓内にヒト胆管がんを発生させることが可能か調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物への細胞移植実験は、研究所移転等の理由により、動物飼育施設内で安定的に超免疫不全マウスを飼育することに懸念があったため、次年度に開始すべく延期した。これに関わる費用が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度予定していた超免疫不全マウスへの細胞移植実験を次年度に開始する。それに関わる初年度使用予定されていた消耗品やマウス購買費用に対して支出を履行する。
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