研究課題/領域番号 |
16K07140
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 菜保子 東北大学, 医学系研究科, 講師 (40457750)
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研究分担者 |
鈴木 貴 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10261629)
元井 冬彦 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30343057)
佐藤 冨美子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40297388)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膵癌 / QOL / CRH |
研究実績の概要 |
膵癌は診断が困難かつ悪性度が高く、外科的切除がなされた症例でも生存予後は良好とは言い難い。わが国における膵癌の5年生存率は悪性新生物の中で最下位の約10%であり、膵癌は21世紀に残された消化器癌と言われている。膵癌患者数は増加傾向にあり、診断・治療の成績向上は急務である。近年、化学療法の併用による外科的切除など新たな治療の確立が進んでいるが、唯一根治が見込める外科的切除は膵癌患者にとって侵襲が大きく、そのQuality of life (QOL)低下が懸念されている。患者のQOLは術後生存の予後因子である可能性が先行研究の報告にある。健常者と比較し高い膵癌患者の抑うつも踏まえ、膵癌患者のQOLの向上は課題である。 一方corticotoropin-releasing Hormone (CRH)は脳の室房核から分泌されHypothalamic-Pituitary-Adrenal axisを介しストレス防御に必要な糖質コルチコイドを合成・分泌制御し、ストレス応答の中枢を担う。CRH系分子は中枢神経系以外、主要臓器組織にも存在が確認されているが、ストレス応答以外の作用についてはまだ解明されていない。CRHのreseptor 1の刺激が不安を惹起するため、癌患者の抑うつは心理要因だけでなく身体面からのシグナル伝達が脳に作用し情動に影響する可能性も示唆される。よって癌の進行と神経内分泌作用影響による心身相関を念頭とした病態生理学的な解明が必要である。 平成29年度、本研究では、前年度に引き続き手術を企図した膵癌患者に対する前向き調査の登録および追跡調査の継続を実施した。今後は調査内容もとに腫瘍組織におけるCRH関連分子の発現とストレスや情動の関連等について検証を行うが、本年度はこれに先立ち患者のQOLに関する予備的検討を行い、その結果を国内外の学会や論文で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 本研究は予定していた数の患者登録を完了した。現在は観察期間に入り、予定していた調査を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 平成30年度は29年度に引き続き対象者の観察期間として調査の実施を行う。過去症例の検討および組織診断と各尺度との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)組織の薄切・免疫染色に先立ち、被験者のリストと組織の整合性の確認作業に時間を要したため、組織の薄切および免疫染色が年度末にかかった。そのため関連諸経費として次年度使用額が生じた。 (使用計画)組織の薄切および免疫染色に関わる経費として使用する。
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