研究課題
腫瘍促進因子FEATタンパクがほとんどのヒト癌の細胞質で異常に増加し、患者の血中に漏出していることを見出した。この発見に基づいて、血中FEATを高感度で検出して癌化を早期発見し、FEAT活性を阻害する薬剤で癌化を停止する方法論を着想した。FEATの欠失で発癌が抑制されるかを明らかにするために、コンディショナル・ノックアウトマウスを作出する。International Mouse Phenotype Consortium(IMPC)のKnockout-Mouse Program (KOMP) よりターゲティングベクターを購入し、がん研究ネットワークメンバーに対する「個体レベルでのがん研究支援活動」の協力を得て、マウスES細胞に導入し、240個のneo耐性ES細胞を拾い上げ、PCRで27クローンが陽性で、サザンブロッティングで4クローンの相同組換えES細胞を同定した。2クローン(#7, #144)のES細胞をマウス胚盤胞期胚へ注入し仮親の子宮へ移植してキメラ率5-10%のオスのキメラマウス(#7, 7匹、#144, 3匹)を得た。精子を人工授精で正常C57BL/6系統と交配したが、#7系統より生まれた441匹、#144系統より生まれた183匹は全てブラックで、agoutiは1匹も得られなかった。
3: やや遅れている
FEATノックアウトマウス作出は、Mettl13+/-マウスが不妊で成功しなかった。コンディショナル・ノックアウトマウス作出は、現在までのところ成功していない。原因はES細胞の質が低いためと考えられる。
ES細胞の質が低い技術的問題を克服するために、株式会社トランスジェニック社に受託し、生殖系列移行効率が高く戻し交配(backcross)不要なRENKA株のES細胞を用いて、コンディショナル・ノックアウトマウスを作出する。相同組換えの起ったES細胞の作出、マウス胚盤胞期胚への注入によるキメラマウスの作製、ヘテロマウスの作製までを同社で行う。さらに、株式会社KACに受託して、ヘテロマウスの精子を凍結保存し、ヘテロ接合型マウスの雌雄を交配してホモ接合型(Mettl13flox/flox)マウスを得る。このコンディショナルノックアウトマウスを組織特異的Cre発現マウスと交配し、発現型を組織像の顕微鏡観察、血液の生化学検査で解析する。発癌モデルマウスと交配するために、複数の研究者に共同研究を提案する。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLoS One
巻: 13 ページ: e0187878
10.1371/journal.pone.0187878.37
Cancer Gene Ther.
巻: 24 ページ: 165-174
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