研究課題
1.小細胞肺癌における血漿を用いた標的遺伝子解析成功と予後の関連:血漿遊離DNAを用いた標的遺伝子解析を実施した小細胞肺癌症例で、腫瘍組織から検出された変異の60%以上を血漿遊離DNAから検出できた症例を遺伝子解析成功例、腫瘍組織から検出された変異の60%以上を血漿遊離DNAから検出できなかった症例を遺伝子解析困難例と定義した。遺伝子解析困難例(生存期間中央値: 384日)と比較して、遺伝子解析成功例(生存期間中央値:66日)の予後が有意に不良であった(p= 0.022, log-rank test)。遺伝子解析成功例は、遺伝子解析困難例と比較して、血中の腫瘍循環細胞や腫瘍由来cfDNAが多いことが示唆される。急速に進行し予後不良な小細胞肺癌では、時間をかけた生検による診断が困難なため、このような症例に対して、血漿cfDNAを用いた標的遺伝子解析が有用である可能性が示唆された。2.血漿を用いた代謝解析・メタボローム解析:血漿代謝解析・メタボローム解析を実施した小細胞肺癌症例の中で、42例で予後に関する情報が得られた。この42例の中で、血漿Cis-Aconitic acidの定量値が高い症例は、定量値の低い症例と比較して、有意に予後不良であった(p = 0.028, log-rank test)。またIsocitric acidの定量値が高い症例も、定量値の低い症例と比較して、有意に予後不良であった(p = 0.011, log-rank test)。これらの結果から、血漿代謝産物が、小細胞肺癌の有効な予後予測バイオマーカーとなり得る可能性が示唆された。
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