研究実績の概要 |
初年度であるH28年度は、まず、申請者が新規に開発した超低頻度の点突然変異頻度解析法(特願2015-199342)の改良を行った。シークエンシングエラーの少ない領域として解析に用いる領域ををこれまでの合計15,724塩基から15,552塩基に修正した。 続いて口腔、食道がん因子曝露歴のある健常人1例の舌背部、右側口腔、左側口腔の各粘膜から抽出したゲノムDNAについて点突然変異頻度を解析した。その結果、点突然変異頻度はそれぞれ2.5, 2.4, 2.1 (x10-5/bp) を示した。これらは食道がん患者の食道がん非がん部の突然変異頻度である2.4 x10-5/bpと同等の高値であった。また、口腔粘膜の塩基置換のプロファイルについて解析したところ、90%以上がTransition変異であり、食道粘膜の塩基置換のプロファイルとよく類似していた。口腔粘膜は外界や食物などによるストレスに食道の前に晒されることから、点突然変異は食道粘膜より高レベルで同様のプロファイルを示すと予想されたが、その予想を支持する結果が示された。 今後より多くのサンプルについて解析し、食道発がんリスクと口腔粘膜の点突然変異頻度との関係を明らかにする。
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