研究実績の概要 |
昨年度までに申請者が新規に開発した超低頻度の点突然変異頻度解析法(Yamashita et al. Cancer Letters 2017, 特願2015-199342)の改良を進めた。分子バーコード法との組み合わせによるライブラリの最適な作製条件を特定した。さらに口腔、食道がん因子曝露歴(飲酒・喫煙)のある健常人1例の口腔粘膜から抽出したゲノムDNAについて点突然変異頻度を解析し、食道粘膜と同等の変異頻度であることを確認した。 今年度は改良法においてシークエンサーから得られた配列情報から変異を検出するアルゴリズムについて検討を進めた。両ストランドに同一の変異が存在する場合を真の変異、片側にのみ存在する場合はpre-mutagenic lesionと考えられるので、真の変異のみを検出する必要がある。先にWatson鎖とCrick鎖のリードを分離し、別々に解析して変異を検出して、後で変異情報を統合することにより真の変異のみを検出することができた。一方で、本方法では同一DNA二本鎖に由来するWatson鎖とCrick鎖は別の分子として増幅されてライブラリを形成する。そのために同一バーコードを持つ両方のストランドからリードを得るには大量のリード数を必要とした。この問題は、本方法を含む既存の方法に共通する問題であり、検体あたりのコストに直結し、想定以上に大きな問題であることが明らかになった。
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