研究課題
申請者はこれまでに、c-Jun N-terminal kinase (JNK)シグナルが神経膠芽腫、膵癌など様々ながん幹細胞の幹細胞性の維持に必須で有ることを明らかにし、このJNK経路阻害薬がこれらのがん幹細胞を標的とした優れた治療薬になり得ることを報告してきた。このような背景の中、我々は本研究助成により、ドラッグリポジショニングの手法を用いてヒトにおいて安全情報を持つ別々の目的で開発された2種類のJNK阻害薬、AS602801およびCEP1347がin vitroだけでなく、in vivoモデルにおいても様々な癌種由来のがん幹細胞の幹細胞性を抑制することで、抗腫瘍効果および生存期間延長効果が見られることを報告してきた。更に、これらAS602801およびCEP1347のヒトへの応用を目指し、現在臨床で用いられている抗がん剤との相乗効果を発揮する組合せを模索した結果、卵巣がんにおいて両薬剤が相乗効果を発揮する薬剤として使用可能であることを、その分子機序とともに明らかにしてきた。今年度はドラッグリポジショニングを適用する薬剤群をさらに拡大し、JNK阻害薬とは別に抗腫瘍効果を持つ薬剤として見出してきた抗精神病薬アリピプラゾールの後継薬であるブレクスピプラゾールもまた、神経膠芽腫、膵癌、非小細胞肺がんに対して、単独でも抗腫瘍効果をもち、かつ種々の抗がん剤の感受性亢進作用を持ち、併用することでより抗腫瘍効果を持つことを明らかにし、国際誌に発表し受理された。以上より、ドラッグリポジショニング及び適応拡大を用いた研究を今年度は四報を国際誌に発表し掲載されるに至った。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Cancers (Basel)
巻: 10 ページ: 1550
10.3390/cancers11101550.
Anticancer Res
巻: 9 ページ: 4817-4828
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10.3390/cancers11070947
Oncotarget
巻: 37 ページ: 3547-3558
10.18632/oncotarget.26949