研究課題/領域番号 |
16K07161
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西川 武司 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00749799)
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研究分担者 |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00376443)
山口 博紀 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20376445) [辞退]
畑 啓介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60526755)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920)
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (80529173)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80571942)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血管内皮前駆細胞 / スルフォラファン / アポトーシス / オートファジー |
研究実績の概要 |
血管内皮細胞に及ぼすスルフォラファン(SUL)の影響に関してはこれまでの報告の通りで、当初の実験の予定通り、もう1つの血管新生に関与している血管内皮前駆細胞のSUL濃度別のオートファジーの誘導の検討をin vitroで行った。まずはすでに検討を行っているSUL濃度別の血管内皮前駆細胞活性抑制効果をMTS assayにて確認。これまでの如くSUL濃度依存的に細胞活性が抑制されることが確認された。つづいて、SUL濃度別の血管内皮前駆細胞のAVOs形成の検出をacridine orangeを使用して行ったところ、濃度依存的にAVOs形成が行われていることが確認された。SUL40µmで最も形成していることが分かったが、SULなしでも蛍光顕微鏡観察でかなりAVOsが形成されていることも同時にわかった。オートファジー阻害薬である3-MAを使用してアポトーシスの誘導をFlow-cytometryを用いて測定したところ低濃度SULにおいて3-MAでオートファジーを抑制するとアポトーシスを強く認めるという結果であった。高濃度SULではSUL単独でアポトーシスが誘導されているためか3-MAにてオートファジーを抑制しても強くアポトーシスは誘導されなかった。つづいて、SULによる血管内皮前駆細胞の基底膜マトリックス上での管腔形成への影響の評価を行った。これまで同様にSUL濃度依存的な管腔形成の抑制効果を認めたが、3-MAを加えると3-MA単独でも血管内皮前駆細胞の管腔形成の抑制が認められ、いずれのSUL濃度でも管腔形成が認められないという結果であった。今回の実験でわかったこととして、血管内皮前駆細胞は通常状態でもオートファジーを強くおこしている状態であり、3-MAでオートファジーを抑制するとそれだけでアポトーシスが強く誘導されることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管内皮前駆細胞に及ぼすSULの影響に関しての結果をうけて、マウス実験を行うにあたり使用予定となっている大腸癌細胞株colon26のSUL濃度別の細胞増殖抑制効果についてin vitroで確認する必要が生じたと判断した。結果として、colon26もこれまでと同様にSUL濃度依存的に細胞増殖が抑制されることを確認した。今後のマウス実験にむけて、SUL濃度別のAVOs形成などオートファジーの確認、3-MAによるオートファジーの阻害とアポトーシスへの影響などin vitroでの実験を追加して行っていき確認していく。
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今後の研究の推進方策 |
vitroでの評価の後、vivoでの検討を行う。マウス大腸癌細胞のColon26をBALB/cマウスの側腹部に皮下注射する。4週間後皮下腫瘍が形成されたことを確認し、治療に入る。7日間連続してマウスに3-MA (10mmol/kg)の存在下または非存在下に25mg/kgのSULを含んだ餌を食べてもらう。その後マウスをSacrificeし、腫瘍を採取する。採取した腫瘍を用いて以下の検討を行う。①腫瘍体積、重量の評価②LC3発現の検討:Western blottingによる発現の検討③抗アポトーシス蛋白Bcl-2の発現の評価:Western blottingにて行う④血管新生の評価:顕微鏡下に密度を計測する。他、播種モデルの作成なども適宜行っていく。
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