研究課題/領域番号 |
16K07175
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川瀬 孝和 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30463194)
|
研究分担者 |
一戸 辰夫 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (80314219)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 細胞免疫療法 |
研究実績の概要 |
次世代シークエンサーとシングルセルソーティング技術を用いて、ヒト末梢血中に存在するT細胞受容体(TCR)のα鎖とβ鎖のペアを網羅的に同定し、機能的解析をおこなう系を確立した。この系ではTCRのレパトアを解析する事により、NGSの強みを生かしたTCRレパトアの網羅的解析に加え、単一T細胞から抽出したcDNAを用いて塩基配列を決定することにより、TCRα鎖,β鎖のペアの同定が可能となる。興味深いTCRに関しては、同定したTCRα鎖,β鎖のペアを非特異的T細胞に遺伝子導入し、抗原特異性の確認、更には機能解析を行う事ができる。 本年度は上記の系を用いて、GVHDに関与せず、GVL 関与するTCRの遺伝子配列を明らかにするための基礎データとして、各T細胞分画に存在する抗原特異的TCRの解析を行った。T細胞分画は従来のNaive分画、Central Memory分画、Effector Memory分画、Effector分画に加え、Stem cell memory分画(Tscm)、Memory with Naive phenotype分画(Tmnp)分画の検討も行った。非常に興味深いことにTscm分画はTCRのレパトアの多様性が他のMemory分画に比べて低く、Effector分画の多様性スコアに近いことが明らかとなった。また、Tscm分画に結合力の高い抗原特異的TCRが多く存在することを明らかにした。以上より、Tscm分画が免疫学的に重要なTCRのリザーバーとなっっていることが示唆された。また、Tmnp分画には、従来まで報告されていた慢性感染症に関連するT細胞に加えて、急性感染症に関連するT細胞も存在することを明らかにすることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サイトメガロウイルス特異的TCR、に加え各T細胞分画のTCRレパトアの解析が終了しており、GVHDに関与せず、GVL 関与するTCRのデータ収集を開始している。
|
今後の研究の推進方策 |
同種抗原特異的T細胞受容体、腫瘍抗原特異的T細胞受容体の解析を進める。さらにこれらのT細胞受容体の交差反応性を検討し、細胞 免疫療法への応用が期待できるT細胞受容体のデータベースの構築する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 解析サンプル数が予定より少なかったため。 (使用計画) 実験系の確立が終了しており、サンプルを順次解析していくために使用予定である。
|