イベルメクチンによるHippo経路を標的とした新しい胃癌腹膜播種治療法の確立

2018 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 16K07177
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 腫瘍治療学
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 江口 英利 九州大学, 大学病院, 講師 (90527756)
• 連携研究者: 三森 功士
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 胃癌 / Hippo経路 / YAP1 / イベルメクチン / リポジショニングドラッグ / 数理統計解析

研究成果の概要

本研究はイベルメクチンがYAP1の阻害により胃癌に対して抗腫瘍効果を有すかを明らかにする。イベルメクチンを胃癌細胞および胃癌マウスモデルに投与すると腫瘍増殖抑制効果を認めた。またその機序として、Hippo経路の転写因子であるYAP1は細胞増殖関連遺伝子であるCTGFを誘導するが、イベルメクチン感受性胃癌細胞においてイベルメクチンの投与によりYAP1 mRNA、核内YAP1蛋白が減少し、CTGFの発現が減弱した。つまり、イベルメクチンはHippo経路のYAP1発現を抑制することにより細胞増殖を抑制しうる。また胃癌症例において、YAP1高発現群は予後不良であった。

自由記述の分野

消化器外科学

研究成果の学術的意義や社会的意義

スキルス胃癌は比極めて予後の悪い腫瘍であり、腹膜播種の機序については未知な部分が多く、有効な治療法の確立が待たれる。我々はイベルメクチンがHippo経路の転写因子であるYAP1の 阻害効果を有することを見出し、 同薬剤投与により腹膜播種の抑制効果が期待される。またイベルメクチンはリポジショニングドラッグとしても有用性が期待される。