研究実績の概要 |
本研究では、腫瘍血管新生抑制効果を有する「機能強化型エクソソーム」を作成し、骨髄微小環境制御による多発性骨髄腫の新規治療法を開発することを目的としている。 初年度では、骨髄間質細胞(BMSC)の加齢性変化およびそれらが放出するエクソソームの機能解析を行い、若年者骨髄間質細胞由来エクソソームが著しい腫瘍血管抑制効果を有していルことを明らかにし、次年度では若年者由来エクソソームに特徴的なmiRNAをプロファイリングにより選別し、 候補となるmiRNAを同定した。最終年度である本年度では、専用試薬Exo-fectを用いて候補miRNA(miR-411, miR-374a, miR-340, miR-365)を、直接的にエクソソームに導入を行い、腫瘍血管抑制効果の高い改変エクソソームを構築した。 さらに、in vivoマウスモデルを用いて改変エクソソームの治療効果の評価系を構築した。骨髄腫細胞株(RPMI8226, U266)をマトリゲルに改変エクソソームと混合した状態でヌードマウスの皮下に移植し、3 週間後に腫瘤を回収し、血管新生能および腫瘍細胞の年者由来エクソソームと同程度の抗腫瘍血 管新生が得られることを見出した(増殖を指標として解析した。その結果、miR-340および mIR-365を導入した改変エクソソームでの抗腫瘍血管新生の抑制能が向上していることが示された。さらには、miR-340の標的因子の探索を行い、数種類の血管新生に関与する因子群に候補を絞り解析を進め、in vitroの解析結果からmiR-340が直接的にcMETの発現を阻害することを見出した。本研究ではエクソソーム に直接的にmiRNAを導入することによりエクソソーム自体の性質を変化させることに成功し、今後exosome-based therapyの開発に結びつくと考えられる。
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