研究課題
近年、成人臍帯血移植は骨髄バンクドナーからの移植に比肩する件数が本邦で行われている。しかし、臍帯血移植は、患者体重当たりの移植細胞数が骨髄移植の約1/10と少ない。このため生着不全のリスクが高く、血球回復が遅延するという問題が生じる。生着不全のリスクは、骨髄非破壊的前処置によるいわゆるミニ移植においてはさらに高くなる。我々のグループも、臍帯血ミニ移植を積極的に試みてきたが、約20%の症例で生着不全を認めている。生着不全のリスクを低下させる方法の一つとして、臍帯血を造血の場である骨髄に直接移植するという方法がある。ジェノバ大学のFrassoniらは、前処置にATGを用い洗浄した臍帯血を骨髄内移植する方法にて1)生着不全の減少、2) 血小板回復の早期化、3) 重症急性GVHDのリスク低減を報告している。 我々は成人悪性血液疾患患者を対象として、ATGを用いない骨髄非破壊的前処置にて、洗浄しない臍帯血を、骨髄内へ移植する第I相試験を単施設で行い安全性を確認の後、骨髄内臍帯血ミニ移植の有効性を検討する第II相試験を多施設共同研究として実施した。生着率は86.4%であり、血小板生着中央日44日と良好な結果を得た。また、骨髄由来間葉系幹細胞が本邦初の再生医療等製品がGVHD治療薬として使用されている。その有効性を検証するとともに、我々が開発した胎児付属物由来間葉系幹細胞がその機能において既存の製剤と同等であることを確認し、効率的細胞製造法を開発した。
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