研究実績の概要 |
本研究では、ナフトピジルを基盤とした抗がん作用を有する新規誘導体の探索合成または代謝物の新規抗がん作用を研究を展開したが、悪性中皮腫に対して顕著な抗がん作用を有する誘導体の創出はできなかった。しかし、研究を進める中でナフトピジルの代謝物の1つであるHUHS190が、膀胱がんに対して細胞レベルで有効な作用を有することを見出し、in vivo実験に用いるための大量合成ルートの確立した。さらに、薬物動態プロファイルの検討およびマウスXenograftモデルにおける有効性を2019年度までに明らかとした。 新型コロナウイルス拡大により、2020-2021年度は研究の進展がほとんどなかったが、2022年度は、これまでに見出した誘導体の抗がん作用の阻害メカニズム解析を行った。具体的には、悪性中皮腫細胞MESO-4において、細胞死抑制経路、細胞骨格形成経路および細胞周期との関連性を検討した。 誘導体の抗がん作用は、複数の細胞死経路抑制薬(Z-VAD, Nec-1, Fer-1, IM-54)による顕著な抑制は確認されず、細胞死誘導経路の関与は低く、抗がん作用が細胞増殖抑制に起因する可能性が示唆された。そこで現在、細胞骨格に関連する評価系として、遊走抑制作用および細胞骨格に関連するタンパク質の同定を進めている。さらに、臨床薬との併用効果についても検討を行っており、これまでに合成した誘導体から、単剤では効果が弱いものの臨床薬の作用を増強する相乗効果を有する化合物の探索も進めている。
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