研究課題
本研究では独自に開発した抗Glypican-1モノクローナル抗体に抗癌剤をコンジュゲートさせた抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate, ADC)を開発し、食道癌に対する新規治療法の開発を目的とした。2016年度においては、独自に開発した21種類の抗Glypican-1モノクローナル抗体のクローンに対して、抗癌剤結合2次抗体を用いたin vitro ADCアッセイを実施した結果、ADC活性の強いクローンを単離することに成功した。最も高いADC活性を発揮したクローンについて、cathepsin Bにより切断されるペプチドリンカーとチューブリン重合阻害剤(Monomethyl auristatin F)MMAFをコンジュゲートしたADCが細胞内に取り込まれてエンドサイトーシスによりリソソームに移行することを、CD107aとの蛍光二重染色により明らかにした。また本ADCはコントロールADCと比較し、GPC1陽性食道癌細胞株に対して極めて強い細胞増殖阻害効果を示すことをin vitro ADCアッセイより明らかにした。本研究で食道癌に対するGPC1を標的としたADCの薬効を評価するために、食道癌手術組織を移植したPatient-Derived Xenograft (PDX)の開発を試みた。その結果、独自に食道癌PDXマウスを4系統樹立する事に成功し、いずれの系統もGPC1の発現が陽性である事を免疫組織化学染色法により明らかにした。今後、ADCのin vivoでの薬効を評価する。
2: おおむね順調に進展している
独自に開発した抗GPC-1モノクローナル抗体のクローンよりADC活性の強いクローンを得る事に成功した。また、cleavable linkerを介してMMAFをコンジュゲートしたADCを製造し、in vitroにおいて薬効を得る事にも成功した。
今後、食道癌ゼノグラフトモデルおよび食道癌PDXマウスを用いてGPC-1を標的とするADCの薬効を解析する。また、本GPC-1抗体はマウスGPC-1にも交叉反応するため、in vivoでの毒性評価も実施する。
購入予定の薬品の在庫がなかったため。
次年度の研究計画に組み込んで使用する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Br J Cancer.
巻: 115 ページ: 66-75.
10.1038/bjc.2016.183.