現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Miwi2依存的なH3K4me2の脱メチル化とpiRNA依存的なDNAメチル化の相関関係の検証を下記の通り、ほぼ完了した。コントロール及びMiwi2欠損マウスの精巣から、Oct4-GFP陽性の精原細胞を回収し、H3K4me2抗体を用いたChIP-seq解析を行った。これにより、約70,000のピークを同定し、その中の約5,000のピークがMiwi2欠損細胞において、正常細胞よりも4倍以上増加していた。次にこれらのH3K4me2の発現量とpiRNA依存的なDNAメチル化の変化を比較するために、H3K4me2ピーク上におけるDNAメチル化率を抽出した。その結果、Miwi2欠損細胞でH3K4me2が増加する領域の大部分はpiRNA依存的なDNAメチル化を受ける領域であった。一方で、DNAメチル化の消失がH3K4me2の増加に繋がっている可能性も否定できていなかったため、この点も検証した。まず全ゲノムを500bpのサイズに分割し、piRNA依存的にDNAがメチル化される領域を約14,000同定した。これらの中で、Miwi2欠損細胞におけるH3K4me2の変化±2倍以下のものが約10,000あることを確認した。すなわち、piRNA依存的にDNAがメチルされなかった領域の全てにおいて、H3K4me2が増加しているわけではないことを示している。以上の結果から、Miwi2依存的なH3K4me2の消去がpiRNA依存的なDNAメチル化に必要である、という申請者の仮説と矛盾のないもであった。又、MIWI2は培養細胞において、H3K4me2脱メチル化酵素であるKDM1A(Lysine demethylase 1a)と強く結合することを見出している。MIWI2-KDM1A依存的なH3K4me2の消去がpiRNA依存的なDNAメチル化に繋がるか、その因果関係の検証を試みている。
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