研究課題/領域番号 |
16K07205
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中野 善夫 日本大学, 歯学部, 教授 (80253459)
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研究分担者 |
谷口 奈央 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60372885)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 細菌叢 / n-グラム / 口腔内細菌 |
研究実績の概要 |
まず4種の口腔内細菌の精製ゲノムDNAを混合し、人工的な環境細菌叢試料を作り、その塩基配列をMiSeqにより解析し100塩基の配列断片の集合としての結果を得た。その配列より、5塩基配列の出現頻度による菌叢構成種比率と、当該口腔内細菌種のゲノム情報を基にした塩基配列データベースに対してBlast検索による二つの方法で細菌の構成比を求めたところ、精度の高い計算結果が得られた:A. actinomycetemcomitans 32%/32%, F. nucleatum 14%/14%, P. gingivalis 0.42%/0.50%, S. mutans 4.9%/4.8%(菌種名 5塩基連続配列に基づく解析による値/Blast検索を用いた解析による値)。 次に7種(A. actinomycetemcomitans、A. naeslundi、E. coli、F. nucleatum、P. gingivalis、P. intermedia、S. mutans)の口腔内細菌ゲノムDNAを用いてさらに同様の計算を行なうと同時に、種の間で変動が大きく、もっともエントロピー値の大きい5塩基配列、すなわち種の特定に対してもっとも情報量の大きい5塩基配列を10選び、同様の計算を行なった。その結果、高エントロピー項である10の5塩基配列を用いた計算で、512項全部を用いた場合とほとんど変わらない結果が得られた。計算量を大きく減らすことができた。 さらにヒト口腔内より採取した唾液中の最近由来の16S rRNA配列の解析を行なうと同時に、100bp断片のメタゲノム解析も行なった。現在、これらの口腔内サンプルを用いて本法による菌叢解析と従来法との比較を行なってその実用性について検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年まで計画通りに進んでいる。実際の口腔内細菌サンプルで解析を行い、その信頼性を検証するための計算が残っているだけである。その計算終了後に、成果を論文として発表する準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はまず5塩基連続配列の偏りによる系統樹の作製や菌叢中の構成種計算が効率良く行なえることを示す論文をまとめて発表する予定である。次の段階として、これまで5塩基の連続配列で解析してきたが、これを増やして種に極めて特異性の高い配列を見出せるかどうかを検証する。7~8塩基程度では計算量が多くなるだけで、特異性の向上にはあまり結びつかないが、15塩基になれば2~4MBの細菌ゲノム中に数個しか出現しないはずである。10~15連続塩基配列で種特異性の高い配列を見出せるかどうか、検証する。そのような配列があれば、それを使った種の構成推定の計算法を構築する。 続いて、5~7塩基連続配列の特徴を使って、ゲノム中に異質な領域を見つけることで、伝播によって種が獲得した配列を網羅的に拾い上げることを試みる。「偏り」を見つける方法として、1-class support vector machineによる予測を検討している。一般にサポートベクターマシンは集団を多クラスに選り分ける機械学習の手法だが、1クラスでは「外れ値」のようなサンプルを見出すことになる。それによって、より外れている5塩基連続配列の偏りを見出すことが可能になる。その領域を集め、相同性検索によって機能を推定することで、既知の移動性遺伝子が見出されるはずだが、そのような機能の推定ができない配列群をまとめて、さらにグループ化を行なうことにより、新たな移動性遺伝子を見出すことが可能になるかも知れない。試験的に数種の口腔内細菌で試してみたところ、Tranposaseや薬剤耐性遺伝子等を含む配列が選び出されてきて、方法として有効であることが示唆されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析サンプルの調製が年度後半になり、配列解析の報告が研究費の年度末締切りに間に合うという確証が得られなかったので、次年度初めに解析を始めることにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度助成金と合わせて、口腔内サンプル由来の細菌叢メタゲノム解析を順次進めていく。また、そのためのサンプル調製に必要な消耗品(DNA精製関連)、および、成果発表のための学会出張費(国内)や論文投稿のための英文校閲費にも研究費を試用する計画である。
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