研究実績の概要 |
妊娠期母体免疫ストレス動物モデルを用いて胎児成長後の脳前頭前野を対象にDNA メチル化状態を次世帯シークエンシングで網羅的に解析した.統合失調症動物モデルとして,胎生期のウイルス感染(免疫ストレス)として妊娠期に母体にPoly I:Cを投与したマウスから生まれた仔が成獣後に行動変化を示すことから(Ozawa et al., 2006), 本研究は妊娠14 ~ 19 日目の母親 BALB/c マウスにPBS または Poly I:C( 5 mg/kg)を 毎日 1 回、トータル 6 回腹内注射した.生まれた仔マウスの体重を測定し, PBS対照群と比べて有意な変化が認められなかった.さらに,これらの仔マウスが成長後(8 週)に,オープンフィールドおよびプレパルス抑制テストによる精神行動を評価し,Poly I:C 投与による成長後の多動傾向と雌性仔マウスにおけるプレパルスインヒビション(PPI)の顕著な低下が認められた.行動評価終了後に,マウスから脳前頭前野を摘出してRNA およびDNA を抽出する.ChIP-seq およびマイクロアレイのデータ解析は,Poly I:C投与した雌性仔マウスにおけるメチル化の増加が認められ,さらに,GREAT ontology toolを用いて各ピークに対応する遺伝子をマッピングした結果,統合失調症関連遺伝子(7個)の発現が顕著に変動した.また,Real time PCRおよびパイロシークエンシング法を用いて,これらの遺伝子(2個)の発現量およびエクソン領域におけるメチル化の変化が認められた.
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