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2018 年度 実績報告書

過栄養による脂肪細胞機能破綻のエピゲノム機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K07220
研究機関東京大学

研究代表者

松村 欣宏  東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20375257)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード脂肪細胞 / エピゲノム / 糖代謝 / ヒストンメチル化 / ヒストンアセチル化 / ヒストン脱メチル化
研究実績の概要

細胞は外的環境の変化に直面すると、シグナル伝達を介して DNA メチル化やヒストンタンパク質の翻訳後修飾(メチル化、アセチル化、リン酸化)などのエピゲノムを変化させ、環境変化に適応する。外的環境を介したエピゲノムの変化は、生活習慣病の発症に大きく関与している。しかし、外的環境の変化がエピゲノムとして細胞に記憶されるメカニズムは未だ不明な点が多い。白色脂肪細胞のモデルである 3T3-L1 細胞を用い、高グルコースあるいは低グルコース下における遺伝子発現変化、エピゲノム変化、細胞機能を解析した。高グルコース下での分化誘導刺激では、脂肪細胞分化のマスター転写因子である C/EBPα と PPARγ 遺伝子上で転写抑制に働くヒストン H3K9 トリメチルが脱メチル化され、遺伝子発現が誘導された。さらに高グルコース下では、糖代謝に関わる遺伝子群において、H3K9 ジメチルの脱メチル化と遺伝子発現誘導が起こり、糖代謝と脂肪蓄積が促進された。一方、低グルコース下では、C/EBPα と PPARγ 遺伝子上で H3K9 トリメチルの脱メチル化と遺伝子発現誘導が起こったが、糖代謝に関わる遺伝子群において H3K9 ジメチルの脱メチル化と遺伝子発現誘導が抑制され、糖代謝と脂肪蓄積が抑制された。ヒストン H3K9 脱メチル化酵素 KDM3A と KDM3B のダブルノックダウンにより、糖代謝に関わる遺伝子群の発現誘導と脂肪蓄積が抑制された。以上より、過剰なグルコースはヒストンの脱メチル化を介した機構で、脂肪細胞の糖代謝と脂肪蓄積を制御することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Downregulation of ERG and FLI1 expression in endothelial cells triggers endothelial-to-mesenchymal transition.2018

    • 著者名/発表者名
      Nao Nagai, Hiroto Ohguchi, Ryo Nakaki, Yoshihiro Matsumura, Yasuharu Kanki, Juro Sakai, Hiroyuki Aburatani, Takashi Minami
    • 雑誌名

      PLoS Genet

      巻: 14 ページ: e1007826

    • DOI

      pgen.1007826

    • 査読あり
  • [学会発表] SETDY は NCoR-HDAC 複合体と相互作用し脂肪細胞分化におけるエンハンサー活性化を制御する2018

    • 著者名/発表者名
      松村欣宏,山崎あゆむ,馬郡健太,田中十志也,川村猛,平川弘幸,油谷浩幸,酒井寿郎
    • 学会等名
      第12回 エピジェネティクス研究会

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公開日: 2019-12-27  

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