研究課題
次世代シーケンシング(NGS)やマイクロアレイによるゲノム情報の処理基盤の整備を継続して実施した。29年度は実際の臨床データへの応用を中心に進めた。臨床系研究者と共同してヒト疾患を対象として次世代シーケンシングによるDNA変異解析(全エクソン配列解析)や発現量解析(RNA-seq解析)に基づく情報解析を実施した。腎臓疾患(常染色体優性遺伝性尿細管間質性腎疾患, ADTKD)や消化器疾患(非アルコール性脂肪肝, NAFLD)および循環器疾患(バース症候群)などに関して得られた知見を学術論文として出版した。また、全エクソン配列解析やその結果の可視化のための手法に関する知見、および、消化器疾患(B型肝炎)に関するコピー数変異(CNV)解析やミトコンドリア病に関して得られた知見の学会発表を行った。循環器疾患をはじめ、眼科疾患や小児科疾患および精神疾患の他、ミトコンドリア病や歯学系疾患に関する臨床データの解析を引き続き進めている。疾患に関連した染色体領域の抽出と順位付けを行う解析ソフトウェア(HDR2)の改良を行い、ミトコンドリア病の解析に応用した結果を学術論文として出版した。また、表現型と遺伝型の関係をベイズ理論を用いてモデル化(数式で表現)する手法に関する理論的な背景を書籍の一部(章)として出版した。開発した手法を軸としてゲノム情報に関するさまざまな研究開発事業と連携を進めることにより本研究で得られた成果の広範な活用を図っている。
2: おおむね順調に進展している
解析ソフトウェアやデータベースの開発は順調に進捗している。コントロール用の1000ゲノムプロジェクト由来のゲノムデータの整備も順調に進捗している。臨床データへの適用数も順調に増加してその結果の一部は学術論文として出版されるに至っている。臨床現場への貢献を目指した当初の目標は達成されつつある状態に至っている。
引き続き臨床データへの応用を中心に進める。疾患に関連したDNA変異の絞り込みを中心として進めているが、関連する因子(遺伝子や配列変異)が構成する相互関係や全体像の把握のためのゲノム情報の可視化や図式化を考慮しながら解析手法の開発を進める。
計画段階にはワークステーションでの構築を予定していたファイルサーバをノートPCと低価格化/大容量化した外付けハードディスクで構築することによりコスト削減を図った。削減したコストの一部は計算用のGPUボードの購入費用に充当した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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http://www.gi.med.osaka-u.ac.jp/software/hdr
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