研究課題/領域番号 |
16K07225
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
油谷 幸代 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副ラボ長 (10361627)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ネットワーク解析 / 遺伝子発現 / システム構造化 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、これまでに開発したネットワークモデル推定手法を各モデル生物における遺伝子発現プロファイルに適用し、遺伝子ネットワークモデルを構築を行った。さらに、構築したモデル構造を制約条件とした、構造方程式モデリングを基盤とする新規活性化部位推定予測手法を開発を試みた。 具体的には、第一に初期モデルの構築手法を新規に開発した。従来、既知の知見からSEMの第一段階である初期モデルの構築してきたが、ベイジアンモデルやブーリアンモデルを遺伝子発現データに適用し、複数のモデル推定手法でロバストな構造を抽出を抽出することで、初期モデルを自動的に生成することを可能にした。 次に、特定の条件下で活性化している部位を推定するため、疑似逆行列をつかった重み行列を計算し、SEMで最適化された重み行列からの差異を計算した。特に、3)で構築した包括的遺伝子ネットワークモデルのグラフ構造を制約条件とした最適化では従来のMIスコアによる最適化では、精度が保証されなかったことから、エッジの削除や追加は行わず、エッジの持つ係数を調整することで特定条件下にて測定された遺伝子発現プロファイルと同じパターンの発現プロファイルになるような手法の開発を試みた。 さらに、構築した包括的遺伝子ネットワークモデルで推定された各エッジのweightやp値を元にランダムに数値を与えることで、ネットワークを構成する遺伝子群の値を計算し、実測値との差を検定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度が出向でほぼ1年研究できなかったことで、開発予定が当初より多少ずれこんでいるが、残り1年で予定通りになると思われる。 当初の予定では想定していなかった箇所に問題がでてきたが、昨年度中にその問題は解決できた。 また、当初予定ではこれまでに扱ったことのあるデータでモデル構築を行う予定だったが、公的データの拡充に伴い、扱うことのできるデータ数が増加したので、それに適した解析手法の開発に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度でもあるので、本課題についての成果をまとめる予定である。そのため、まずは 1)係数行列間の比較手法の確立 2)1)からのグラフ上の活性化部位推定技術の開発
の2点を重点的に実施する。上記2点が開発されれば、SEMによって最適化されたネットワーク構造上で、特定の条件下で活性化している部位の推定が可能になる。 手法確立ののちは、公的初年度に収集した各種モデル生物の公的データに適用し、適用例について論文発表や国際学会での発表を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度(H28年度)に所内出向で約半年間研究活動ができず、初年度分として計上していた予算を平成29年度に繰り越し、使用させていただきました。 そのため、元々平成29年度分として計上していた額以上の予算を配賦いただきました。当初H29年度分の予算相当を使用いたしましたが、初年度分の残りが多かったため、次年度使用額が生じるにいたりました。
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