平成30年度は、ネットワークグラフの構造に制約条件を入れたネットワークモデルの開発を実施した。特に、生物学的知見等から因果関係の有無が確定している遺伝子間において、その知見を包含したネットワークモデルを構築するため、最適化アルゴリズムを実施する時、共分散行列上で特定の要素に値を持たせたままで数値のみ最適化する方法を開発し、適用した。平成29年度までに、システム構造化手法を適用したネットワークモデル推定手法の開発を行ってきた。開発していく中で、最適化したネットワークモデルが局所解になっている可能性が考えられたので、GAの点変異を利用して最適化アルゴリズムの改良を行った。そのうえで、構築したネットワークモデル構造において、一部を固定したうえでこの最適化アルゴリズムを実施することで、少数の特定条件下で活性化するサブグラフ構造の抽出方法を開発した。 具体的には、従来モデル最適化アルゴリズムで使用してきたModification Index(MI)スコアについて、閾値を設定し2段階でモデル構築を行うアルゴリズムを開発した。 次に、昨年開発した疑似逆行列をつかった重み行列からの活性化部位の推定手法について、疑似逆行列とSEMで最適化された重み行列の構造類似性について、ハミング距離、相関係数等で比較した。SEMで最適化された重み行列からの差異を計算した。 これらの手法をまとめた結果を、国際学会で発表するとともに、開発した手法を実データに適用した結果の論文を作成中である。また、個別の手法については、随時各生物のデータに適用し、論文発表を行った。
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