絶滅危惧種ヘツカランとコゴメキノエランの花生態調査をそれぞれ鹿児島県の大隅半島と奄美大島で実施した。秋~冬に咲くヘツカランの花がニホンミツバチを騙すことで受粉されることを初めて明らかにし、温帯の冬であっても(鳥媒ではなく)ハナバチ媒というニッチが利用可能なことを明示した。また冬季に開花することで、他の採餌源植物が少なくハチが騙されやすいこと、ミツバチをめぐる他の開花種との競争が低減されること等の意義を示唆した。コゴメキノエランの花が小型ハエ類(ノミバエ?)を騙すことで受粉されることを示唆する結果を得た。今回得られた花生態やそれ以外の生態的知見等をもとに、両種の保全管理に有用な情報を提供した。
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