研究実績の概要 |
2016年4月から5月の第1回調査ではベトナム南部最西端のKien Giang省Phu Quoc島から中部のThua Thien-Hue省までの13省を探索した。第2回調査では2016年12月から2017年1月に中部のThua Thien-Hue省以北の北はBac Kan省、北東部のLang Son省、Quang Ninh省までの16省を探索した。2016年1月の中部Lam Dong省における予備調査も含む3回の探索で、50数種(同定できた40種と同定中の10数種)、577個体を見いだし、全個体について、GPSデータ、葉形態計測用のさく葉標本を作成しスキャンデータを得た。開花個体については花を採集し、形態形質を調査した。SSR解析にはシリカゲルで乾燥保存した葉からDNAを得た。民間のカメリアガーデンや国立公園の一角に作られた保存園などで栽培管理下にあるツバキ属植物約100個体からもSSR解析用の葉を採集した。 集団遺伝学的解析のため1集団あたり7個体以上の採集を目指し、同定中の7種7集団を含む38種47集団について十分な数の個体からサンプルを得られた。これまでにベトナム中部以南から得た35種のDNAを用いて、チャで開発されたSSRマーカー(Sharma et al., 2009, Tanicuchi et al., 2012, Tan et al., 2013)がツバキ属植物に適用可能か否かを調査した。96マーカーを選びスクリーニングしたところ23マーカーがツバキにも適用できることがわかった。 同定中のサンプルの中には新種が複数種含まれている可能性があり、3種について新種記載の論文を準備中である(1報は投稿済み)。なお開花を確認できなかった種については再度冬の開花期に探索調査を行いたいと考えている。
|