研究課題
Argonaute(Ago)は、短い核酸をガイド分子として、その塩基配列特異的にターゲット分子に結合して機能するタンパク質である。申請者はこれまでに、Rhodobacter sphaeroides (Rs)Agoがガイド鎖をRNAとし標的をDNAのみを特異的に認識することから、RNA-guided DNA interferenceで機能することを明らかにし、Argonauteタンパク質による遺伝子発現制御の新規メカニズムを発見することに成功した。この研究成果により、RsAgoがRNA-guided DNA interferenceの中心的な役割を担うことは明確になったが、細胞内における当分子メカニズムが誘発する仕組みに関しては、不明なままである。本研究では、RsAgo-ガイドRNA複合体によるDNAサイレンシング機構の機能発現メカニズムについて解析を行った。真核生物のArgonauteは、ウイルスなどに対する自己防衛システムで機能することが示されているが、原核生物のArgonauteの機能は、明らかになっていない。そこで、Argonauteが発現していない大腸菌にRsAgoを発現させて、原核生物のウイルスであるバクテリオファージの感染実験を行った。ファージの感染実験では、RsAgoの発現によりファージ感染の拡大が見られた。一方、異なる種類のファージを感染させた時には、RsAgoの発現による影響は見られなかった。さらに、RsAgoの発現により、感染が抑制されるファージも見つかった。以上のことから、RsAgoは、ファージの種類により様々な機能を持つことが示された。これらのことから、RsAgoは、バクテリオファージの感染に大きく関与していることが示された。今後、RsAgoは感染の促進と抑制の相反する二つの機能が観察されたことから、その原因とメカニズムの解明が必要である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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