研究課題
出芽酵母(S. cerevisiae)のRad52は、DNAリガーゼによる直鎖状DNA末端の結合を促進し、直鎖状DNAが連結した多量体を形成する。Rad52にはN末端側とC末端側の両方にDNA結合部位がある。C末端側では457-504アミノ酸残基にあり、特に475-504残基が重要であることを特定した。この領域を欠失したrad52Δ475-504は、Rad51の相同対合活性(D-loop形成)の促進効果がなかった。この475-504残基領域は、Rad52結合した一本鎖DNAをRad51に受け渡すために必要であることを発見した。rad52Δ475-504は、直鎖状DNA末端の結合の促進は見られず、直鎖状DNA多量体形成率も低下した。さらにrad52Δ457-504では、二本鎖DNA結合活性は野生型と同程度であったが、DNA末端の結合の促進とDNA多量体形成は共に見られなかった。このことは457-504アミノ酸領域にDNA末端結合に関与する重要な機能があることを示唆している。これまでにN末端側のDNA結合領域変異rad52K117A/R148AでもDNA末端の結合とDNA多量体形成が見られなかった。以上のことから、N末端側とC末端側の両方のDNA結合領域がDNA末端の結合とDNA多量体形成に関与していることが示された。一方、酵母での非相同末端結合を解析する系を構築のためにura3欠失株を作成して用いる計画であったが、ura3を欠失すると生育が極めて悪くなり、計画変更を余儀無くされた。別の方法として、LEU2を持つブラスミドを大腸菌由来のDNA配列内で切断して、leu2欠損株に導入して、ロイシン非要求性形質転換体(LEU+)の形成率を調べた。rad52欠失株でのLEU+の形成率は野生型株の1/4に低下し、RAD52が非相同末端結合に関与していることが示された。また、回収したプラスミドは95%以上が正確に結合され、rad52欠失株と野生型株で差はなかった。
すべて 2018
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Nucleic acids Research
巻: 46 ページ: 10855-10869
10.1093/nar/gky877