研究課題
本研究課題では塩素イオンポンプ・ハロロドプシンの反応中間体のX線結晶構造解析を行い、イオン輸送サイクルの間に、1)タンパク質部分では3種類の構造変化が起こり、2)発色団レチナールも3種類の異性化状態を経ることを示し、レチナールの異性化→タンパク質の構造変化→イオン移動→レチナールの異性化、…、という具合に反応が進行することでイオンの一方向の輸送が保証されることを提唱してきた。今年度は、上記と同様な反応機構が光駆動プロトンポンプ(バクテリオロドプシンやアーキロロプシン)でも働いている可能性を論じるため、これらのタンパク質の光誘起吸収変化を詳しく調べた。特にアーキロドプシンについては、その光サイクルの後半部分の反応キネティックスがpHに強く依存し、従来一つと考えられていたN中間体には分光特性の異なる3種類の準安定状態が存在することを明らかにした。ハロロドプシンの光反応キネティックスとの類似性から、アーキロドプシンでも発色団レチナールの3段階異性化が起きている可能性が高いと推察された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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