ヒスタミンは多様な生理作用を有し、花粉症や皮膚炎といったアレルギー性疾患において重要な役割を担う生理活性物質である。ヒスタミンは、必須アミノ酸であるヒスチジンから一段階の脱炭酸反応で合成されるが、薬理上の重要な標的となるにもかかわらず、ヒスタミン合成に関する医薬は開発途上にあり、体内でヒスタミンを合成する唯一の酵素である分子の機能解明は進んでいない。本研究によって明らかにした阻害剤と酵素の複合体の構造と反応機構の解明などの重要な構造化学的基礎データを蓄積すれば、医薬品の開発だけではなく、生体内におけるヒスタミンの動態を明らかにするための基礎研究にも貢献できると考えられる。
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