研究実績の概要 |
CENP-TWSX複合体は申請者らが発見した新規ヒストン様複合体で真核生物の染色体セントロメア領域で染色体分配に関与する。DNA結合にはCENP-TのC末端領域に存在するヒストンフォールドドメインを使う。一方、CENP-TのN末端領域は染色体領域から突出し、微小管結合タンパク質複合体Ndc80と直接相互作用する。これまでの解析からCENP-TWSX複合体のDNA結合様式はヒストンと異なり、正の超らせんを導入することが知られており、CENP-TWのDNA結合能がCENP-SXのDNA結合能よりもよりも重要であることがわかっているがその詳細は不明である。今年度はCENP-TWSX複合体のDNA結合認識機構を解明する目的で二つのアプローチをとった。一つはニワトリ由来のCENP-TWSX複合体の解析である。CENP-TWSX複合体を大量に調整し、DNAとの結合実験と結晶化実験を行なった。ヌクレオソームの結晶構造に使用されたWidom601配列をベースにDNA鎖長の異なる合成オリゴDNAを複数作成し、結晶化を試みた。これまでにCENP-TWSX複合体とDNAの複合体結晶と思われるものは得られているが、回折能が悪く、さらなる結晶化条件の改善やDNAコンストラクトの改善を行う必要がある。今年度はニワトリ由来のCENP-TWSX複合体の解析に加えて、熱安定性の高い好熱性真核生物由来のCENP-TWSX複合体の構造機能解析を開始した。好熱性真菌Chaetomium thermophilum由来のCENP-T, CENP-W, CENP-S, CENP-Xをクローニングした。CENP-TW複合体およびCENP-SX複合体を大腸菌の共発現ベクターに組み込み、タンパク質複合体の大量発現を行なった。
|