研究課題/領域番号 |
16K07281
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
児島 将康 久留米大学, 付置研究所, 教授 (20202062)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グレリン / ナノボディ / グレリン受容体 / 立体構造認識 / GPCR結晶化 |
研究実績の概要 |
申請者が発見した摂食亢進ホルモンのグレリンは、N末端から3番目のセリン残基が脂肪酸のオクタン酸で修飾されており、この修飾基が活性発現に必須である。本研究では、なぜオクタン酸修飾がグレリン受容体の活性化に必要なのか、結晶構造を解明して明らかにしようと試みた。そのためのツールとして、アルパカのナノボディを結晶化の共蛋白とすること計画した。昨年度、ファージティスプレイ・ライブラリを作製してグレリン受容体の立体構造を認識するナノボディクローンの取得を試みた。本年度は様々に条件を変えてパンニング操作を行った。1,ネガティブ・パンニング用にA2Aリポソームを使い、これに結合しないファージをまず選択したのち、グレリン受容体に結合するファージを探索した。2,グレリン受容体をアビジン・ビオチン結合ではなく、リポソームを直接プレートに固定し、パンニングを行った。3,無細胞系で合成したグレリン受容体リポソームではなく、昆虫細胞で発現したグレリン受容体を精製し、それをプレートに固定してパンニング操作を行った。 その結果、1~3において、いずれも非特異的な結合が多く、回収したナノボディ・ファージはグレリン受容体を認識するものではなかった。今後はパンニングをさらに進めるとともに、アルパカ重鎖のサブクラスを用いた新しいファージディスプレイ・ライブラリを構築してスクリーニングを続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グレリン受容体の立体構造を特異的に認識するアルパカ・ナノボディは残念ながらまだ取得できていない。今後もさらにスクリーニングを継続する必要がある。その一方で平行して進めていたグレリン受容体に対するマウス・モノクローナル抗体を取得することができ、これを用いてグレリン受容体の結晶構造解析を一つ明らかにすることができた。 当初の計画ではアルパカ・ナノボディをグレリン受容体の結晶構造のための共蛋白に使用する予定だったが、先にマウス・モノクローナル抗体でうまくいった。今後はグレリン受容体を活性化するリガンド模倣性のアルパカ・ナノボディに焦点を絞ってスクリーニングを行っていく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
予定外にグレリン受容体の不活性型の構造を得ることができた。これによって、なぜグレリンのオクタン酸が受容体活性に必要なのか、そのメカニズムの一端が明らかにされた。今後はグレリンが結合した活性型のグレリン受容体の構造を明らかにする必要があり、そのための重要なツールとして、グレリン受容体を活性化するリガンド模倣性のアルパカ・ナノボディの、スクリーニングを継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が当初の予定よりやや遅れたために、次年度への繰り越し額が生じた。繰り越し額は少額なので、使用計画に変更はない。
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