本研究では腸球菌Enterococcus hirae(Eh)由来のATP駆動型ナトリウムポンプであるV-ATPase(Eh V-ATPase)全複合体の構造を電子顕微鏡単粒子解析により明らかにし、その選択性イオン輸送の分子機構を解明した。結果、Eh V-ATPaseでは回転子が膜内の回転リングの中心からズレた位置でこれに結合していることがわかった。また、Eh V-ATPaseのメジャーな構造状態は、好熱菌のV/A-ATPaseではマイナーな構造状態に相当することが明らかになった。さらに、Na+が回転するc-ringに受け渡される機構が明らかになった。
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