研究課題
基盤研究(C)
代表的なG蛋白質共役型受容体(GPCR)であるロドプシンと、そのG蛋白質活性化を停止する調節蛋白質であるアレスチンとの相互作用を、ナノディスクを用いたX線溶液散乱法で解析した。自己会合性とリン酸化ロドプシンとの結合能について、全長アレスチンとスプライスバリアントであるp44で比較したところ、両者は同様に濃度依存的な4量体を形成することがわかった。また、p44とリン酸化ロドプシンは、暗状態で不安定なプレカップル状態、光活性化状態でフルカップル状態を形成することが実験的に示された。
生物物理学、光生物学
GPCRは市販の医薬品の約半数が作用していると考えられている生理学的・薬理学的に重要な蛋白質群である。GPCRはリガンドの作用によってG蛋白質で仲介される細胞内シグナル伝達系を活性化し、リン酸化とアレスチン結合によってG蛋白質活性化能を失う。本研究で得られたアレスチンのタイプの違いによる結合様式の違いは、GPCRの活性を適切に制御して細胞が正常に機能するメカニズムの理解に寄与すると考えられる。