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2016 年度 実施状況報告書

タンパク質構造形成の高次構造依存性の解明と高次構造依存型分子力場の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K07325
研究機関広島市立大学

研究代表者

鷹野 優  広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (30403017)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード二次構造 / αヘリックス / 水素結合 / 分子力場
研究実績の概要

αヘリックスは、蛋白質の三次元構造形成に重要な二次構造であり、主鎖のペプチド結合同士が水素結合を形成することにより安定に存在している。我々はαヘリックス内の水素結合に注目し、その特徴を捉え、将来的には古典分子動力学シミュレーションの新規力場開発につなげることを目指している。当研究室の先行研究において、水素結合の強度の指標となるαヘリックス構造と伸びた構造のエネルギー差(相対エネルギー)は、量子化学と古典力場の手法間で大きな開きがあったと報告されている。本研究ではMolecular Tailoring Approach (MTA) 法を用い、αヘリックス中の個々の水素結合を量子化学計算により定量的に解析した。
まず、水素結合エネルギーが結合距離・角度に依存することが確かめられたことに加え、αヘリックス中では水素結合が不安定であることがわかった。この傾向を良い精度で点電荷モデルを用いて再現できた。これらから、αヘリックス自身のつくる静電相互作用が水素結合の強度に影響することが明らかとなった。一方、広く用いられている古典分子力場AMBERff99SBの静電・ファンデルワールス相互作用の和で定義した水素結合エネルギーは、αヘリックス中ではなくすなわちαヘリックスによる静電場がない状態での水素結合エネルギーと良く一致した。この結果は、αヘリックスの新規古典分子力場の開発において、周囲の静電場の効果が入った水素結合に関する項の必要性を示唆するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二次構造と水素結合の関係を明らかにし、新しい分子力場設計の指針がたったため。

今後の研究の推進方策

新しい分子力場設計に向けて、必要なパラメータの計算などを進めていく。

次年度使用額が生じた理由

合見積もりをとり、当初予定していた研究用ワークステーションと同等の性能で価格が安いものの調達ができたため。論文校閲用に経費を計上していたが、当初より興味深い結果が生じたためよりよい論文誌への投稿を目指し、論文投稿を遅らせることにしたため。

次年度使用額の使用計画

今年度投稿予定の論文の英文校閲への使用、また論文誌の投稿料への使用、カバーの掲載が許された場合にはその掲載費への使用を予定する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Reparameterization of PM6 Applied to Organic Diradical Molecules2016

    • 著者名/発表者名
      Toru Saito, Yasutaka Kitagawa, Yu Takano
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry A

      巻: 120 ページ: 8750-8760

    • DOI

      10.1021/acs.jpca.6b08530

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] MDシミュレーションによる抗HIV中和抗体PG16のCDR-H3における構造揺らぎの解析2017

    • 著者名/発表者名
      桐林遼・近藤寛子・黒田大祐・齋藤徹・香田次郎・釘宮章光・中野靖久・鷹野優
    • 学会等名
      日本化学会第97春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-17
  • [学会発表] Molecular dynamics study of the structural rigidity of CDR-H3 of anti-HIV neutralizing antibody PG162016

    • 著者名/発表者名
      Ryo Kiribayashi, Hiroko X. Kondo, Daisuke Kuroda, Toru Saito, Jiro Kohda, Akimitsu Kugimiya, Yasuhisa Nakano, Yu Takano
    • 学会等名
      第54回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      つくば国際会議場
    • 年月日
      2016-11-26 – 2016-11-26
  • [学会発表] Molecular dynamics study of the structural rigidity of CDR-H3 of anti-HIV neutralizing antibody PG162016

    • 著者名/発表者名
      桐林遼・近藤寛子・黒田大祐・齋藤徹・香田次郎・釘宮章光・中野靖久・鷹野優
    • 学会等名
      2016年日本化学会中国四国支部大会香川大会
    • 発表場所
      香川大学幸町キャンパス
    • 年月日
      2016-11-05 – 2016-11-05
  • [学会発表] Molecular Tailoring Approachを用いたαヘリックスに働く相互作用の量子化学的解析2016

    • 著者名/発表者名
      鷹野優・草鹿あゆみ・中村春木
    • 学会等名
      第16回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2016-06-08 – 2016-06-08
  • [学会発表] 分子動力学シミュレーションによる抗HIV中和抗体PG16のCDR-H3における構造安定性の解析2016

    • 著者名/発表者名
      桐林遼・近藤寛子・黒田大祐・香田次郎・釘宮章光・中野靖久・鷹野優
    • 学会等名
      第16回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2016-06-08 – 2016-06-08

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公開日: 2018-01-16  

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