研究課題
タンパク質は、それぞれの特異な機能に適した三次元構造を形成している。αヘリックスやβシートなどの二次構造はそのような三次元構造を構成する重要な基本ブロックであり、その形成には水素結合などの相互作用が強く関わっている。このような相互作用を定量的に見積もることはタンパク質の三次元構造形成原理の理解を深めるのに加えて、タンパク質のふるまいを正確に記述する分子力場の開発にも役立つと考えられる。本年度は、タンパク質の二次構造中の水素結合エネルギーを定量的に見積もることでタンパク質の立体構造形成原理の理解することを目的として,αヘリックスにおける主鎖原子間の相互作用を量子化学計算により詳細に評価した.αヘリックスについて3つのモデル、①α-helical structure(AH)モデル・②Single turn(ST)モデル・③Minimal hydrogen bond(MH)モデル、を用いた。その結果、AHモデル、STモデル、MMともにMHモデルの水素結合エネルギーとよく相関していた。AHモデルとSTモデルで水素結合がMHモデルより弱いのは、隣接する残基との相互作用の影響と考えられる。MMの値はMHモデルに近く、分子力場は水素結合エネルギーを過大評価することが示唆された。またSE値もMHモデルの値とよく相関しており、N末端を除いてそれらの差は一定であった。つまり、分子力場では水素結合エネルギーが過大評価されることが示され、その原因は隣接残基との相互作用による分極の影響が考慮されないためであることが示唆された。
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