研究課題
すべての動物細胞内で、細胞内物質が能動的に輸送されている。例えば、大都市に向けて、車両などを使って、食料や医薬品などの生活必需品が農・工業地帯から、輸送されている。この輸送が滞ると都市生活が成り立たない。これと類似して、真核細胞の中では、オルガネラ、成長因子、mRNAなどの様々な物質の輸送が、細胞骨格に沿って、モータータンパク質というタンパク質により輸送されている。この輸送の障害は、細胞死や神経の場合には神経変性疾患と深く関連することが示唆されている。細胞質ダイニンは、細胞内物質に結合して、細胞骨格である微小管に沿って歩行することで、輸送を行う主要なモータータンパク質である。これまでに、細胞質ダイニンが微小管に沿って歩行を続けるためには、2つのモータードメインが、情報交換を行なっていることが示唆されている。しかし、その構造生物学的な基盤は解明されていない。 そこで、微小管に結合している2つのモータードメイン間の相互作用の構造生物学的な基盤を明らかにすることを目指して研究してきた。昨年までに、この構造のクライオ電子顕微鏡による撮影を行い、得られた画像から3次元再構成を行なった。その結果、2つのモータードメイン間の相互作用を考える上で重要なパラメーターである3次元空間上での2つのモータードメインの距離分布を新たに得た。また、バックアップのテーマとして、微小管から解離した細胞質ダイニンの構造研究もクライオ電子顕微鏡とネガティブ染色電子顕微鏡法で行なった。その結果、細胞質ダイニンの新規の構造を発見した。
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bioRxiv
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https://doi.org/10.1101/2020.03.05.979989
Journal of the Institute of Science and Engineering, Chuo University
巻: 25 ページ: 93-103