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2017 年度 実施状況報告書

USP15による新規RNAプロセシング制御と神経疾患との関連

研究課題

研究課題/領域番号 16K07339
研究機関筑波大学

研究代表者

鶴田 文憲  筑波大学, 生命環境系, 助教 (30571450)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードUSP15 / TUT1 / Sart3 / RNA splicing / spliceosome / cerebellum / motor dysfunctions
研究実績の概要

USP15は生体内でユビキタスに発現している脱ユビキチン化酵素で、様々な基質の脱ユビキチン化を介して細胞内シグナリングを調節している。これまでに我々は、USP15がヌクレオチド転移酵素TUT1の脱ユビキチン化を介して、RNAスプライシング制御に関与すること、この現象に異常が生じると時間経過とともに小脳プルキンエ細胞が脱落することを明らかにしてきた。本研究課題では、(1)USP15-TUT1によるmRNA代謝制御の分子メカニズム、(2)USP15欠損によって産生されたSparcl1スプライシングバリアントの生理的役割、の2点の解明を目的としている。(1)の結果として、H29年度に、USP15ノックアウトマウス脳でTUT1の基質となるU6-snRNA量が変動すること、さらにTUT1のノックダウン細胞でもUSP15ノックアウトマウス脳で観察された現象と同様の結果を得ることができた。このことからUSP15-TUT1軸はU6-snRNA量の調節に寄与していることが考えられた。興味深いことに、USP15は小脳内でプルキンエ細胞に強く発現しており、USP15ノックアウトマウスでプルキンエ細胞が月齢依存的に脱落して行く結果とも一致する。これらの結果から、USP15-TUT1軸からU6-snRNA制御に至る経路が小脳プルキンエ細胞の維持に重要であることが推測できた。またUSP15ノックアウトマウス脳で変動する標的因子の解析を行い、有力な候補遺伝子のスプライシング変異体の配列を同定することができた。(2)の結果として、Sparcl1スプライシングバリアントの配列同定を行い、USP15ノックアウト脳ではSparcl1の機能制御に重要な領域が欠損しているバリアントを2つ同定することができた。現在、得られたSparcl1スプライシング変異体の機能を細胞やマウスを用いて検証している。今後は得られたSparcl1遺伝子の解析を中心に、なぜUSP15ノックアウトマウスが月齢依存的にプルキンエ細胞の脱落につながるのか検証していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題(1)の進捗状況として、平成28年度はUSP15がnonsense-mediated mRNA decayを調節する、という仮説を中心に検証を行なったが、予想通りの結果が得られず、U6-snRNA量を調節する、という仮説へシフトしてきた。平成29年度は新しい仮説を中心に検証し、おおむね期待通りの結果を得ることができた。また組織染色に利用できるUSP15抗体を手に入れることができたことから、USP15の小脳内での発現細胞も同定することができた。これらの結果から、USP15-TUT1によるU6-snRNA量の調節がグローバルなスプライシング制御に関与することが考えられた。課題(2)の進捗状況として、最も困難だと考えていたスプライシングバリアントの同定に成功することができ、現在、マウスや細胞を用いて解析を進めているところである。

今後の研究の推進方策

USP15-TUT1によるスプライソソームの制御機構は、今後も細胞やマウスを用いて解析を続けて行く。特に、USP15ノックアウトマウス脳から、通常のスプライシングとは異なるメカニズムで変異体が産生されていることが推測できたことから、USP15-TUT1軸やU6-snRNA量の変動が非定型スプライシングに関与するか可能性について検証していく。また同定したSparcl1変異体の解析もマウスや細胞を用いて検証し、発達期や老齢期でどのような役割を担うのか、検証していく。

次年度使用額が生じた理由

年度末に何点か実験試薬を購入する予定であったが、国内在庫がなく、海外取り寄せになってしまったため、会計事務の都合上、平成30年度に繰り越した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Microglial dynamics during brain development2018

    • 著者名/発表者名
      Okajima T, Tsuruta F
    • 雑誌名

      Neural Regen. Res.

      巻: 13 ページ: 222-223

    • DOI

      10.4103/1673-5374.226386.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] KLHL7 promotes TUT1 ubiquitination associated with nucleolar integrity: Implications for retinitis pigmentosa2017

    • 著者名/発表者名
      Kim J, Tsuruta F, Okajima T, Yano S, Sato B, Chiba T
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 494 ページ: 220-226

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2017.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantification of Endosome and Lysosome Motilities in Cultured Neurons Using Fluorescent Probes2017

    • 著者名/発表者名
      Tsuruta F, Okajima T, Yano S, Chiba T
    • 雑誌名

      J. Vis. Exp.

      巻: 123 ページ: -

    • DOI

      10.3791/55488.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CACUL1/CAC1 attenuates p53 activity through PML post-translational modification2017

    • 著者名/発表者名
      Fukuda T, Kigoshi-Tansho Y, Naganuma T, Kazaana A, Okajima T, Tsuruta F, Chiba T
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 482 ページ: 863-869

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2016.11.125.

    • 査読あり
  • [学会発表] USP15はTUT1脱ユビキチン化を介してRNAスプライシングを制御する2017

    • 著者名/発表者名
      金材炫、鶴田文憲、千葉智樹
    • 学会等名
      日本分子生物学会

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公開日: 2018-12-17  

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