研究課題/領域番号 |
16K07347
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野田 健司 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00290908)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | TORC1 |
研究実績の概要 |
TORC1はアミノ酸等の栄養に応答し、タンパク質翻訳、あるいはオートファジーなどを制御する細胞増殖のマスターレギュレーターである。しかしながらアミノ酸シグナルがどのようにTORC1に入力されるのか、その分子機構の実態の多くは不明である。本研究では我々が注目したPib2が、TORC1の上流因子として機能することが明らかとなったことから、その作用機序を解明することを目的とする。Pib2はホスファチジル3リン酸に結合するFYVEドメインを有しており、実際ホスファチジル3リン酸に依存して液胞に局在した。その生成に必要なホスファチジル3キナーゼはこれまで報告されているAtg14やVps38を含んだものとは別個のあらたな複合体であることが示唆された。PIb2を条件依存的に発現抑制を行った結果、単独ではTORC1に関する表現型が弱いが、その他のTORC1の上流因子であるGtr1の欠損株のバックグラウンドでは、TORC1活性が完全になくなり、細胞の増殖が停止した。このことはPib2はGtrと平行した経路を形成し、TORC1活性を調節していることを意味している。現在どのようなアミノ酸がそれぞれの経路を活性化するのか、詳細に検討をはじめている。同時に哺乳類培養細胞でのmTORC1の活性化機構も検討し、その活性化因子が、これまで報告されているリソソームではなく、ゴルジ体に局在化ことを見出した。ゴルジ体からリソソームに局在するmTORC1を活性化するメカニズムを提唱している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Pib2の機能解析が予想以上に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
Pib2へどのようにアミノ酸が入力されるのか、個々のアミノ酸への応答プロファイルを詳細に取得し、その分子機構を解明する。とくにPib2がアミノ酸センサーである可能性も想定し、直接結合するのか否か、生化学的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していたラジオアイソトープの実験が、次年度実行することとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ラジオアイソトープの購入に当てる。
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