研究実績の概要 |
本研究の目的は、Rab10が上皮細胞において細胞内膜輸送をどのように制御しているのかをその分子機構を中心に明らかにすることである。前年度までにRab10に結合する機能未知のタンパク質を酵母ツーハイブリッド法を用いて同定した。まずその分子に対する抗体を作製し、間接蛍光抗体法を行ったところ、トランスゴルジネットワーク及びリサイクリングエンドソームに局在することを明らかにした。また、Rab10のノックアウト細胞にPI4Kの阻害剤であるPAOを処理すると、コントロールに比べて明らかなTGNおよびRE膜からの離脱が認められた。このことより当該分子はRab10およびPI(4)P, あるいはPI(4,5)P2, PI(3,4,5)P3のいずれかに依存してトランスゴルジネットワーク及びリサイクリングエンドソーム上に局在することが予想される。さらに当該分子に結合するタンパク質の機能を明らかにするため、免疫共沈降反応により相互作用する分子の同定を行い、数種類の有力な候補を得ることができた。これら候補分子に対する抗体を作製し、さらにエピトープタグを付加したcDNAを発現してそれぞれの細胞内局在を観察したところ、Rab10と同様にトランスゴルジネットワーク及びリサイクリングエンドソームに局在することが確認された。現在はさらにそれらのノックアウト細胞を作製して、細胞極性や膜輸送への影響を調べているところである。
|