研究課題/領域番号 |
16K07373
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岩尾 康宏 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (10144916)
|
研究分担者 |
上野 秀一 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (80363092)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 多精拒否 / 卵賦活 / 膜接着 / 膜融合 |
研究実績の概要 |
動物の単精受精における「電気的多精拒否」の分子機構の解明を目指して研究を進めている。アフリカツメガエル(X. laevis)では、精子が卵細胞膜に接着し、卵内Ca2+ 濃度上昇のシグナルを伝えると卵細胞膜上のCl-チャネルが開き、正の受精電位が生じて第二の精子の進入を阻止する。我々は精子表面の正電荷をもつMMP-2が電位センサーとして機能し、卵細胞膜MD中の負電荷をもつGM1との結合が重要であることを発見しており、単精種の受精では、MMP-2 (HPX)/GM1の結合が受精成立に必須であることを証明するため、MMP-2遺伝子欠失・改変をおこなった精子での受精能と電位感受性を担う分子機構を明らかにするための実験をおこなった。 遺伝子欠損個体の作出に適している2倍体ネッタイツメガエル(X. tropicalis) の受精時のCa2+イオン濃度変化や電位感受性を明らかにした。X. tropicalis精子でのMMP-2タンパク質の発現・分布を、抗MMP-2 (HPX) 抗体でのイムノブロット法により明らかにした。 MMP-2のHPX部分の遺伝子配列を特異的に破壊するように設計したTALENヌクレアーゼを受精卵に注入し、生殖系列細胞にMMP-2遺伝子(とくにHPXドメイン)を選択的に欠損させたカエルを共同研究で作出した。F1ホモ個体を継代飼育により作出する。F1ホモ個体は選らなかったので、F1ヘテロ個体を用いてF2ホモ個体の作出に成功した。現在、精子形成と受精能および電位感受性について解析中である。ホモ欠損個体で精子形成が異常となると受精解析が困難なため、とくに精子形成について解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ、計画どおりにMMP-2遺伝子を欠失したホモ個体の作出に成功し、解析を進めることができているが、一方、変異遺伝子の導入個体の作出はまだ十分には進んでいないため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで、少し遅れている研究を鋭意進めるとともに、計画に沿って生理的多精受精卵における多精拒否の分子メカニズムを明らかにすることを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子導入動物の作成実験の進行が少し遅れているため、必要な試薬・器具等を購入しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度に遅れている実験をさらに進めるために、それらに必要な試薬・器具等の購入に充てる。
|