本研究では、単独で動く能力をもつ間充織性細胞が、集団秩序を形成して運動するしくみを明らかにするために、ニワトリ胚中胚葉細胞の遊走をモデル系とした細胞運動の定量解析を行った。その結果、10-20個の中胚葉細胞が、N-cadherinを介した3次元的な細胞間接着で繋がった網目様構造の集団を形成すること、さらにこの構造をダイナミックに再編成しつつも、向きを揃えて効率的に集団移動するという全く新しい遊走様式を見出した。また、これらの網目細胞集団における運動速度や協調した方向性は、N-cadherinの機能が阻害された場合に著しく低下し、中胚葉組織形成が遅延する可能性が考えられた。
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