研究課題/領域番号 |
16K07388
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
金原 和江 室蘭工業大学, 工学研究科, その他(客員准教授) (30587746)
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研究分担者 |
岩佐 達郎 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (00133926)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シロイヌナズナ / 小胞体ストレス応答 / 三量体Gタンパク複合体 / Gβサブユニット |
研究実績の概要 |
主に次の項目に関して実験を計画し、実行した。 (1)三量体Gタンパク質複合体サブユニットの一つGβタンパク質 (AGB1) の細胞内局在を明らかにする目的で、ProAGB1:AGB1-Venusを発現するシロイヌナズナの形質転換植物体を構築し、そのスクリーニングを行なった。我々の先行研究により、AGB1を欠失した変異植物体は小胞体ストレスに対し脆弱になることが明らかになっている。この表現系を指標に、AGB1 の機能を相補しつつ蛍光シグナルが検出可能な植物体を単離することに成功した。このagb1-3 ProAGB1:AGB1-Venusを用いて、細胞内局在を調べたところ、細胞膜にシグナルを検出した。予備実験によれば、細胞膜に加えて、小胞体に一致するシグナルも検出した。今後は確立した植物体を用いて、通常状態の細胞内局在を明らかにするとともに、小胞体ストレス条件下でのGβサブユニットの動向についてリアルタイムで観察することにより、Gβサブユニットの小胞体ストレス応答における役割を明らかにする。 (2)生化学的手法によりGβサブユニットのin planta相互作用因子の同定を試みた。上記(1)で確立したAGB1-Venusを発現する植物体を寒天培地で2週間生育した後、芽生えを破砕し全タンパク質を抽出した。それを用いてGFP抗体によるプルダウンアッセイを行い、共沈降するタンパク質の同定を試みた。様々な条件検討を行なった結果、GFP抗体と共沈降するタンパク質の同定に成功した。現在、同定したタンパク質の解析を行うとともに、その再現性に関して追試実験を行なっている。さらに、酵母のツーハイブリッド実験及びBiFC法により相互作用の確認を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は主に下記2点に関して進捗があった。 (1)ProAGB1:AGB1-Venusを発現するシロイヌナズナの形質転換体の構築に成功し、スクリーニングにより、蛍光タンパク質を融合したGβサブユニットが、本来の機能を維持することを明らかにした。構築した植物体を用いて、細胞内局在のリアルタイム観察を開始した。(2)(1)で構築した植物体を用いて、プルダウンアッセイを行い、相互作用因子の候補となる複数のタンパク質の同定に成功した。これらの結果より、現在までのところ当初の計画に沿って順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
上述の項目(1)に関して、まずはじめに通常状態でのGβサブユニットの細胞内局在を明らかにする。その後、小胞体ストレス条件下での細胞内局在を顕微鏡観察により明らかにする。上述の項目(2)に関しては、現在、候補となる相互作用因子の同定に成功しているため、それらについて個々の解析を始める。また、実験結果の再現性を確認するため、別の手法を用いて相互作用を立証する。具体的には出芽酵母を用いたツーハイブリッド実験とBiFC法の準備に着手している。さらに、現在の候補因子をもとに、三量体Gタンパク質が小胞体ストレス応答にどのように機能するのか、その分子メカニズムに関して具体的な仮説を立て、その検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年度は、消耗品とその他に関しては、ほぼ当初の計画通り使用したが、旅費に関しては発表を予定していた国際学会に都合があわず出席できなかったため、次年度に使用額が生じた。 (使用計画)平成30年度は、研究打ち合わせと学会出席のために旅費を使用予定である。また、消耗品とその他に関しても目的に沿って計画通り使用予定である。
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