研究課題/領域番号 |
16K07394
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 有性生殖 / 核膜融合 / シロイヌナズナ / 分子シャペロン |
研究実績の概要 |
本研究では、シロイヌナズナの有性生殖における核膜融合の分子機構の解明を目指し、核膜融合に関与する各因子の機能の解析を行っている。 本研究ではまず、極核融合過程における小胞体Hsp70の制御因子であるERdj3A、ERdj3Bと p58の役割を、ライブイメージング解析によって検討した。ERdj3Aと p58の両方を欠損すると極核の核外膜融合が、ERdj3Bと p58の両方が欠損すると極核の核内膜融合が欠損するが、これらの変異株は極核の接近過程には異常を示さないことが示された。また、融合しなかった極核は接触したままで核のサイズの拡大が観察され、何らかの核内構造の変化が生じていることが示唆された。 ERdj3Aと p58の両方を欠損した雌性配偶体は、野生株の花粉で受精した場合でも中央細胞での精核融合欠損が生じる。電子顕微鏡解析によって、これが核外膜融合過程の欠損であることを明らかにした。また、雌性配偶体における外来遺伝子の発現誘導系を構築し、雌性配偶体への赤外レーザ照射によるIR-LEGO法を用いた発現誘導条件を確立した。この実験系を用いて、小胞体Hsp70システム、および、Sun2に関する優性欠損変異体を雌性配偶体で発現誘導可能な株の構築を進めた。 極核融合におけるGex1の役割を検討した。まず、ライブイメージング解析および電子顕微鏡解析の結果、Gex1欠損の雌性配偶体では極核の核内膜融合過程が欠損することが示された。Gex1-GFP発現株を構築し、雌性配偶体ではGex1が核膜に局在することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子顕微鏡解析は、当初の予定通り結果を得ることができた。また、先端バイオイメージング支援プラットフォームの支援を受けることで、ライブイメージング解析と雌性配偶体を用いた遺伝子発現誘導系の誘導条件検討を効率よく進めることができた。遺伝子発現誘導系については、優性欠損変異体発現誘導株の構築も進行している。当初予定していた相互作用解析については、年度内に結果を得ることはできなかったが、平成29年度の早い時期に結果が得られるように研究が進行している。また、平成29年度以降の解析で用いる株の構築も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
解析に必要な株の構築も予定通り進んでおり、平成28年度に引き続き、当初の計画に従って研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末から新年度にかけての研究を円滑に進めるため、年度中に予算を使い切ることは積極的に行わなかった。この結果、3月末までに予算の95%を使用することとなった。また、3月に行った出張旅費など、支払が4月以降となったものもあり約15万円が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額のうち約75,000円は前年度中に使用済みである。残りは約75,000円であり多額ではないため、消耗品費として4月末を目処に使用する予定である。
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