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2017 年度 実施状況報告書

植物細胞の未分化状態の解除に関わる遺伝子発現制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K07396
研究機関京都大学

研究代表者

槻木 竜二  京都大学, 理学研究科, 助教 (50303805)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード植物幹細胞
研究実績の概要

幹細胞らしさの維持についての研究は多いが、幹細胞らしさの喪失に着目した研究はほとんどない。植物の幹細胞らしさの喪失を促す仕組みに関わる遺伝子としてVAHとEVAHを見出している。
1)VAHが、茎頂領域における幹細胞の新生を抑制していることを見いだした。
2)VAHと共に働くENHANCER OF VAH(EVAH)遺伝子を同定している。VAHとEVAH両方の遺伝子の機能が損なわれたvah evah二重変異体では、茎頂分裂組織領域の拡大が観察される。CLV3が機能できない変異体で、茎頂分裂組織領域が拡大することはよく知られているが、VAH/EVAHは、CLV3の経路とは別の仕組みで茎頂領域の幹細胞に負の影響を与えることを見いだした。本研究から、VAH/EVAHは、新規な幹細胞ブレーキとして働くことを提唱している。
3)VAHが、植物の成長が促進されるような条件で、根端分裂組織においても、幹細胞ブレーキの役目を持つことを見いだした。
4)ショ糖が幹細胞らしさに正の影響があることを見いだしている。ショ糖はWUSの発現上昇を誘導する。更に、ショ糖によって成長が促進されるような条件で、VAHは幹細胞ホメオスタシスにより貢献することも見いだしている。ショ糖により、VAHの発現が増加することを見いだした。ショ糖は、幹細胞らしさに正の影響を与えるが、同時にVAHの発現を誘導して、幹細胞ブレーキを用意していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、VAHと共に働く複数の因子の同定に成功しており、それらとVAH遺伝子の遺伝学的関係の解析など、順調に研究が進んでいる。VAHのみならず、VAHと共に働く因子は、植物発生や幹細胞制御の観点から、ほとんど解析されていない。更には、植物幹細胞の幹細胞らしさの解除についての知見はほとんど報告されていない。本研究を進めることにより、植物発生の中心とも言える植物幹細胞制御に関する新規な知見が得られると期待される。

今後の研究の推進方策

これまでの研究から、VAHと共に働く因子を複数同定し、VAHが転写の調節に関わることが示唆されている。これらを踏まえ、以下の解析を進める。
1)VAHを介した遺伝子発現制御機構を明らかにするために、VAHと共に働く転写因子に対する特異抗体などを用いてクロマチン免疫沈降を行い、VAHや同転写因子のゲノムへの結合への様子を解析する。vah変異体などでは、同転写因子のゲノムへの結合に異常が見られる可能性がある。
2)VAHと相互作用する因子を網羅的に同定するため、VAHタンパク質複合体を精製し、構成成分を同定する。
3)VAH、VAHと共に働く転写因子の機能を明らかにするため、これら遺伝子の遺伝学的解析や発現解析を行う。多重変異体を作製して、遺伝学的関係も明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
平成29年度に、VAHタンパク質の生化学的解析を行う予定であったが、VAH遺伝子などの遺伝学的解析が特段に進んだので、それらを優先的に推進させた。その結果、未使用額が生じた。
(使用計画)
平成29年度の研究から、幹細胞の分化状態制御におけるVAHの機能についての新しい知見が得られている。その結果を学会等で発表すると共に、それらの知見を元にVAHの生化学的、分子生物学的解析を進める。未使用額はそれらの経費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] フライブルグ大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      フライブルグ大学
  • [学会発表] 幹細胞らしさの喪失に関わる遺伝子の解析2018

    • 著者名/発表者名
      槻木竜二
    • 学会等名
      第59回 日本植物生理学会年会
  • [備考] 京都大学理学研究科植物学教室・年報(2017 年度)

    • URL

      http://www.bot.kyoto-u.ac.jp/annual/5_iden.html

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公開日: 2018-12-17  

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