研究課題/領域番号 |
16K07397
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
上田 晴子 甲南大学, 理工学部, 特任研究准教授 (90402776)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小胞体 / シロイヌナズナ / アクチン / ミオシンXI |
研究実績の概要 |
植物細胞の小胞体は,アクチン・ミオシンXI細胞骨格によって毎秒1~70 マイクロメートルという高速で活発に運動している.シロイヌナズナの栄養組織では,主にmyosin XIkが結合して牽引することによって小胞体が運動するが,そのしくみはほとんど分かっていない.これまでに,シロイヌナズナROOT HAIR DEFECTIVE 3 (RHD3) の変異体で小胞体運動が著しく抑制されることを見出したが,RHD3の役割は不明である.RHD3 は dynamin-like GTPase に分類され,GTP 加水分解を伴って小胞体膜融合を担う因子で,rhd3変異体では野生型には見られない小胞体断片が存在する.興味深いことに,rhd3変異体では細胞内全体の大きな小胞体の流れが抑制されるものの,小さな小胞体断片は方向性をもって動き回る様子が観察された.そこで,rhd3変異体におけるmyosin XIkの分布パターンを調べたところ,小胞体の運動が顕著に抑制されている太いアクチン束に沿った部分にもmyosin XIkが存在していた.アクチン束に沿った小胞体の分布がミオシンXIを介して形成されることも考え合せると,rhd3変異体でもmyosin XIkが小胞体に結合していると考えられる.以上の結果から,rhd3変異体における小胞体運動の抑制は,myosin XIkの活性制御の異常,あるいは小胞体自体の異常に起因する可能性が考えられるため,現在解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
植物栽培室の環境悪化によりシロイヌナズナの生育不良が発生し,本課題の遂行に必須な植物材料の調達が困難になったため遅延が生じた.
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今後の研究の推進方策 |
植物栽培室の環境悪化は徐々に改善していること,また,植物栽培用のインキュベーターを導入して植物材料を調達することにより,当初の計画にしたがって研究を遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
植物栽培室の環境悪化によりシロイヌナズナの生育不良が発生し,一部の実験に計画より時間を要したため,次年度使用額が生じた.次年度使用額の一部は,植物栽培室の環境悪化を補って植物材料を安定して調達するため,人工気象機の購入に充てる予定である.
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