研究課題/領域番号 |
16K07400
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
朝倉 由香里 大阪大学, たんぱく質研究所, 特任研究員 (70609677)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 葉緑体 / イントロン / スプライシング / RNA結合蛋白質 |
研究実績の概要 |
高等植物の葉緑体におけるmRNA前駆体のイントロンのスプライシングには、核コードのRNA結合蛋白質の介在が必要である。RNA結合蛋白質のCFM1(CRM Family Member 1)およびCFM5は、欠損株の形質から葉緑体生合成過程に重要な役割を担っていると予測される。本研究では、変異株と特異的抗体を用いて、CFM1およびCFM5のターゲットとなるイントロンを同定することを目的としている。 平成28年度は、特にCFM1に絞って研究をすすめた。まず、リコンビナントCFM1抗原カラムを作製し、2個の抗トウモロコシCFM1抗体のアフィニティー精製を行った。次に、CFM1の細胞内局在を明らかにするために、CFM1精製抗体を用いてウエスタン解析を行ったところ、トウモロコシCFM1は、葉緑体の可溶性画分であるストロマに局在することが明らかになった。次に、CFM1のターゲットRNAを探索するために、トウモロコシのストロマ画分と抗CFM1精製抗体を用いて、RNA免疫沈降と葉緑体フルゲノムマイクロアレイを組み合わせた方法であるRIP-chip法 (RNA immunoprecipitation and chip hybridization) を行った結果、葉緑体ゲノム中の6個のグループIIイントロンがCFM1と免疫共沈降した。さらに、これらの葉緑体ゲノムのグループIIイントロンがCFM1のターゲットイントロンであるか否かを確認するため、イネcfm1-1変異株と親株からRNAを抽出し、poisoned-primer extension法およびノーザンブロッティング法により変異株のスプライシング活性の有無を確認したところ、5個のグループIIイントロンがイネcfm1-1変異株において有為に低下していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CFM1の研究に関して平成28年度は、抗トウモロコシCFM1抗体の精製を行い、CFM1のターゲットイントロンの探索と予備的な確認ができ、ほぼ計画通りに進んだため。一方、平成28年度には、CFM5の抗体作製および精製を計画していたが、時間の都合上すすめる事が出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
CFM1に関して今年度は、イネcfm1-1変異株のコントロールとなるイネ変異株を探索する。コントロールの変異株が入手困難な場合、エピトープタグを付加したイネCFM1cDNAをcfm1-1変異株に遺伝子導入する。コントロールイネ変異株が得られれば、昨年度明らかにした5個のCFM1のターゲットイントロンにおいて、cfm1-1変異株のスプライシング活性の減少の再現性を確認する。次に、抗CFM1抗体を用いた免疫沈降を行い、既知のスプライシング因子とCFM1との相互作用や、新規のスプライシング因子の同定を試みる。 CFM5において今年度は、CFM5蛋白質のターゲットRNAを明らかにするため、トウモロコシCFM5抗原を精製し、CFM5抗体を作製する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費として300,000円を計上したが、時間の都合により海外に打ち合わせに行く事が出来なかった為、差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に、学会発表と論文投稿料の一部として使用する。
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