研究課題/領域番号 |
16K07410
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
上野 宜久 龍谷大学, 農学部, 実験助手 (20335011)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | イネ / サリチル酸 / アブシジン酸 / 生物ストレス / 非生物ストレス / PTP |
研究実績の概要 |
寒いと病気に罹りやすい。このような現象は植物にも認められる。国内では冷夏におけるイネいもち病被害の拡大が有名である。しかし、その機構がわからなかったためにこれまで有効な対策は講じられずにきた。研究代表者らはこれまでに、非生物的ストレス応答シグナリングと生物的ストレス応答シグナリングの結節点といえる分子OsPTP1/2 を見出してきた。OsPTP1/2 はチロシン脱リン酸化酵素(PTPase)であり、アブシジン酸(ABA)シグナルによって活性化されることが示唆される結果を得ており、他に植物PTPase の活性化は既報がない。本研究では、新規薬剤を探索することにより、ストレス環境下における病害対策の提案と植物PTPase の活性化機構の解明を実現するための礎を作る。そのために、これまで薬剤探索のためのWRKY45レポーター系統を選別し、さらに薬剤スクリーニングの条件を検討した結果、最良条件を決定して来た。次に実際に化合物ライブラリーからの探索を開始した。現在も継続中である。副産物的に得られた情報としてWRKY45のサリチル酸による発現誘導の分子機構を明らかにできる可能性の見込める現象を見出した。イネにおけるこの機構はシロイヌナズナで提唱されているNPR3/4による物とは様相が異なる。具体的にはWRKY45構造遺伝子内に自身の発現を制御するシス領域が存在する呼び的結果をえた。また、このシス領域に結合する候補転写因子の顔ぶれは、サリチル酸による遺伝子発現制御因子としてシロイヌナズナで提唱されているものとは異なる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
化合物ライブラリーからのPTPase活性を阻害する候補薬剤の探索は、現在なお継続中である。本年度中には終了することを当初は目指していたが、諸々の事情により大幅に遅延しており、まだ終了していない。
|
今後の研究の推進方策 |
進捗が遅延していることを、しかるべき手続きを経て学振に報告するとともに期間延長を申請し、許可をもらった。そこで、今後延長期間の1年間に化合物探索を継続し、完了を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
進捗の遅延に伴い、使用額も抑えられている。延長申請が認められたので、未使用額を次年度に繰り越して研究を継続する。使途に変更予定はない。
|